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卓上型 「DUDEN vs Langenscheidt」
 ボクは基本的に自室で勉強できないので、勉強するにはすべてを持ち運ばなければならない。そのことは当サイト内のいたるところに書いてあるので重ねて説明しないが、とにかくボクが勉強するには、勉強道具をすべてカバンに入れて外出しなければならない。閣下的に、ボクは重い教材が大嫌いで、それは辞書とて例外ではない。ボクは常に携帯用辞書ばかり使っているが、しかし DSH を目指す以上、それだけで全てが事足りるわけではない。否応なく大きな辞書も買わざるを得なくなる。
Langenscheidt Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache


 では大きな辞書、特に独独辞書を買うならどんなものがイイだろうか。われわれドイツにとっての外国人がドイツ語を学ぶのに使うなら、「外国語としてのドイツ語 Deutsch als Fremdsprache 」 辞典 が最適だ。実際、ドイツにはいくもの会社からこのような辞書が発売されているが、語学学校の教師達が勧めるのは二つに一つ。Langenscheidt Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache あるいは DUDEN Deutsch Als Fremdsprache Standardwörterbuch。どちらがいいとは言いにくいのだが、前者 Langenscheidt の方を使っている語学生が多いように思う。これには理由がある。しかしその前に両者の性質を詳しく知る必要があるだろう。
DUDEN Deutsch Als Fremdsprache Standard-
wörterbuch


 まず DUDEN は言わずと知れたドイツにおける辞書の代名詞。新しい名詞ができたとき、その性は明確でないのだが、DUDEN に収録された瞬間からその性は決定されることになる。ドイツ語単語を決定する存在、それがDUDEN シリーズだ。

 これベースとして、ドイツ語を外国語として学ぶ人々のために編集されたのが本書で、これが外国人のための正当な辞書と言われる理由である。実際、ブランド名に酔ってしまうことなく編集された内容には定評があり、ドイツ語教員が勧めるのもうなずける。ただボク個人の感想を言えば、内容はやや 「硬いかな?」 という気がする。

 これに対して Langenscheidt の強みは、豊富な多言語辞書を出版したノウハウを徹底的に活かしている点だ。独英辞典はもちろん、独仏、独西、独露、独ギ、独葡、独波…、そして独中、独韓、果ては独和まで、書店に並んでいるのを見ると一瞬 「あらゆる言語の辞書を出版しているんじゃないか」 と思ってしまうほどに、その商品数は多い。そしてそれらの辞書が常に連携して編集されている点が、このシリーズの最大の特徴といっていい。
Langenscheidt Taschenwörter-
buch Deutsch als Fremdsprache


 例えば、独英辞典に収録している単語は、必ず独伊辞典にも収録されている。それは独露であっても、独仏であっても同じだ。つまり同じクラスの中に、アメリカ人、フランス人、トルコ人、チェコ人、ロシア人、ギリシア人…、など多国籍の生徒がいるとして、且つ彼らが全員 Langensheit の同シリーズ各国語辞書を持っていれば、クラス全員がまったく同じレベルの辞書所有していることになる。

 例えばあるポーランド人が、Langenscheidt の 「ドイツ語-ポーランド語辞典」 を使ってドイツ語を学んでいるとしよう。彼の語学力が上がり、とうとう独独辞典を買おうと思うに至ったとき、買うべき独独辞典も Langenscheidt 社の同シリーズのものが効果的だ。新しく買った独独辞典を見ても分からなければ、それまでの ドイツ語-ポーランド語辞典を開いてみればいい。確実に同じ単語が収録されているだけにとどまらず、下手をすると収録ページまで同じだったりする。こういう理由で Langenscheidt の辞書は外国人に広まりやすいのだ。

 DUDEN と Langenscheidt のそれぞれに一長一短があり、どちらが優れているとはいえない。ある程度は利用者の 「好み」 というのもあるだろう。しかしもしドイツの語学学校で学ぶ予定であれば、他のクラスメイトとの差が出ないよう Langenscheidt を選ぶ方がよいかもしれない。また、このことは DSH や TestDaF の出題者もよく把握しているようで、テストに出題される文章の難易度を設定するのに、ある程度は Langenscheidt の編集基準を考慮に入れているような気もする。

 では Langenscheidt の辞書を買うべきか? というと、そういうわけでもない。そもそも日本にはドイツ売っているものより優れた独和・和独辞典があるため、わざわざ Langenscheidt でそろえる必要もない。だからもう少し考えてみる必要がある。冒頭にも書いたように、ボクは重い辞書が嫌いだ。そしていま紹介した二つの辞書はかなり重い。こんな辞書を持ち歩きたくないボクは、必然的に小さな辞書が欲しくなるというものだ。そこでボクの場合はまず携帯型の辞書として何を選ぶかを考え、この辞書を補う形で重い辞書を探そうと考えた。

 もし軽い辞書など不用で、語学学校にも常に巨大な辞書を持っていくことに苦痛を感じない人ならば、上記のうちボクは Langenscheidt の辞書を勧める。そしてもしボクのように小型辞書も欲しいという人は、更に続けて読んでもらいたい。

携帯型・独独辞典の必要性
 まず携帯版の利点は何といっても軽いこと。そして軽いということは、出かける際いつでも持ち運ぼうという気になることだ。誰だって1Kg以上ある巨大な辞書を散歩や買い物に持っていきたくはないだろう。携帯型を持っているというだけで、電車やバスの中でも開いてみようという気なる。それは自分を 「いつでも勉強できる態勢」 に置いていることと同義だ。語学なんてものは、いくら時間をかけて机にかじりついても実は大した効果はない。もちろん勉強しないよりした方がイイのは確かだが、むしろ疑問に思ったときにスグに解決していく勉強法の方が効果が高い。
Schuelerduden.
Bedeutungswoerter-
buch,Wortbildung und
Wortschatz

 それは街中で歩いているとき、あるいは食事中、バスの待ち時間といった、特に勉強に力を入れていないとき。そういう時にふと閃めいた疑問をその場で解決できたとき、その知識は机に向かって勉強しているときよりむしろ記憶に残りやすいのではなかろうか。携帯辞書はそういった日常の疑問を解決するための貴重な手段の一つだと思う。

 そしてなにより収録量が少ないということは、それだけ単語を早く探すことができる。もちろんそういう意味では電子辞書の右に出るモノはないのだが、DSH など場合によっては試験中に辞書の使用を許されるテストをに臨むなら、紙の辞書を引く練習は必須である。テスト中、辞書の使用が許されたとしてもそれはあくまで 「紙の本」 であって、電子辞書は絶対に許されないのだから。

 卓上型の大きな辞書にはたくさんの単語が載っている。しかしその単語がすべて重要なわけではない。ではどんな単語が重要で、われわれは何を優先的に覚えるべきなのだろうか? その答えが携帯型辞書にある。携帯型辞書は卓上型辞書の中から重要な単語を抜粋したものなのだから、言い換えれば、携帯型辞書に載っている単語は即覚える価値があるといえる。ただし学習中調べたにもかかわらず、その単語が載っていないことは十分にあり得る。そういうときのために卓上用の大型辞書は必要不可欠。だから携帯型はあくまでサブであることを忘れてはいけない。

 ところで試験に辞書の持ちこみが許される場合は、携帯型と卓上型、どちらの辞書を持ち込むべきだろうか。これは賛否両論だが、試験会場を見渡すと卓上型の方が多いような気がする。ボクはどうだろうか。実は携帯型を持参する。ボクの考えが正しいか否かは別にして、ボクはこう考えている。
DUDEN (第10巻)
Das Bedeutungs-
woerterbuch


 そもそも外国人向けのドイツ語テストでは、出題者は必ず未知単語がいくつか含まれるように仕向けている。それは受験者が、どのように未知単語を処理するか、という部分にも評価基準を置いているためだ。確かに大きな辞書があれば、未知単語は未知単語でなくなるかもしれない。しかしそれらの単語が分からなくても解けるように作られている問題なら、分からないなりに解く練習をする方が遥かに効率がいいはずだ。

 しかも試験中、辞書を引くために時間を取られていては本末転倒。あくまで 「受験生として最低限分かっていなければならない単語」 さえ分かればいいだけで、もしそれが分からなかったときには携帯型辞書を開けばいい。それ以上の単語を知るために巨大な辞書で貴重な時間をつぶすのは馬鹿げている。そう思ってボクは試験中も、携帯型辞書にのみお世話になってきた。どう考えるかは人それぞれ。ボクはボクなりに最良の方法を考える。

携帯型 「DUDEN vs Langenscheidt」
 携帯型として人気があるのは Langenscheidt Taschenwörterbuch Deutsch als Fremdsprache だろう。サイズは卓上型と同じだが、とにかく薄い。2003年に初版が発行された際は、どこの語学学校でも話題になったようだ。ボクも発売当時に買ってみたが、実にうまくまとめられている。卓上版のエッセンスをふんだんに盛りこみながらコンパクトにまとめた感じだろうか。ただ当然のことながら、独独辞書はすべてドイツ語で書かれているため、初級クラスはもちろん、中級クラスの生徒でも使いこなすのには少し苦戦するかもしれない。

 そこで、もしあなたがいま初級か、あるいは中級クラスでもあまり自信がないようなら、ボクは Schülerduden. Bedeutungswörterbuch. Wortbildung und Wortschatz を勧めたい。本書はこのページで今まで紹介してきた 「外国語としてのドイツ語 Deutsch als Fremdsprache (DaF)」 辞典ではない。この Bedeutungswörterbuch というのは、直訳すれば 「意味辞典」 。DaF 辞典の場合、単語によっては他の単語に置き換えて説明したりするのだが、意味辞典はその単語の意味を、より平易な言葉で説明する。もちろん DaF 辞典にもその傾向はあるのだが、意味辞典の方がもっと分かりやすく説明している場合が多い。

DUDEN (第3巻)
Das Bildwoerterbuch
 また同じ DUDEN でも、これとは別の Schülerduden シリーズはドイツの高校生 Gymnasiast 向けのシリーズ。本書について同社のカタログでは、「高校生に必要な基礎的なドイツ単語を、創意工夫に満ちた言葉によって説明し、あなたの表現力を高める手助けをする一冊。また多彩な図版の利用によって、より理解力を高める」 云々と説明している。DaF 辞典にも図版は多少含まれるのだが、意味辞典の方は図版がさらに豊富。説明しにくいものは図版を参照させ、その上でドイツ語での説明が加えられているため、独独辞典を使う練習用としても意義のある辞典だ。

 また DSH 自体がドイツの高校 (Gymnasium) 卒業生と同等の語学力を有することを証明するものだから、本来はこの辞典で事足りるはずである。もっとも、最近の DSH の難易度はかなり上がっているため、場合によっては役不足を感じることがあるかもしれない。しかし使えない辞書を持ってテストに臨むより、確実に使える、意味の理解できる辞書を持参する方が何倍もよい。もし君が上級クラスに在籍しているなら、ボクは迷わず Langenscheidt の DaF 辞書を勧めるが、もし初級から中級クラスの前半ならばSchülerduden の方を勧めたい。ちなみに重量だけで判断すれば前出の Langenscheidt Taschenwörterbuch Deutsch als Fremdsprache の方が若干薄くて軽いような気がする。

 さて、もし携帯型辞書を買うなら、次に買うべき卓上型辞書もおのずと決まってくる。もし Langenscheidt の Taschenwörterbuch (携帯版) を買うなら、卓上型は DUDEN を選ぼう。なぜなら、携帯版は卓上版の "簡易版" なので、掲載されている単語の説明は基本的に同じだ。しかし他社の辞書であれば説明も違う。よって携帯版と卓上版は違う会社のものを選んだ方が学習効果は高い。もし携帯版として Schülerduden を買うなら、卓上版は Langenscheidt 製の辞書を購入しよう。

本家 DUDEN シリーズの図版が豊富な辞典
 さて、携帯版の意味辞典を紹介した手前、本家の卓上版も紹介しておこう。もともと DUDEN のメインは Standard シリーズなのだが、これは全12巻に分かれている。そのうち第10巻が DUDEN Das Bedeutungswoerterbuch。上で説明したSchülerduden Bedeutungswörterbuch. Wortbildung und Wortschatz は、この本家卓上版を高校生用にアレンジしたものだ。一読すれば分かるが、説明は外国人にも非常に分かりやすい。オススメの一冊だ。

 そしてもう一つ、初級クラスの語学生に人気のある図版だらけの辞典、DUDEN 第3巻、Duden Das Bildwoerterbuch。図版だらけといっても小学生向きではなく、れっきとした大人用。語彙力を増やそうと思ったらうってつけの辞書だ。


以下執筆中です。しばらくお待ち下さい



類語・反意語辞典の決定版??
 語彙力を増やすという意味では、ボクが愛用している類語・反意語辞典


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