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ドイツ生活・留学関連コラム


「 こっそり日記 」 選集
 不定期に書いている「kon.T のこっそり日記 」。ここではこれまでの日記の中から、特に面白そうなもののみ抜粋して掲載する。なお文章はあくまで日記としていい加減に書かれたものであり、内容や表現には多くの問題が含まれることをお許し願う。


日記の日付
タイトル
2005-12-21 (Wed) 経歴証明の文化的相違


 昨日、友達からHelp要請があった。大学に出願して履歴書を送ったものの、大学側から「日本で働いていたときの就業証明書が添付されていない」と指摘されたらしい。

 正社員でもアルバイトで同じだが、そもそもドイツで雇用されると、退職時に社長や店主が必ず就業期間の証明書を書くことになっている。しかし日本にはそんな習慣などなく、証明書をもらうことなど当然できない。それは当たり前のことだが、これをドイツ人に分からせるのはちょっと難しい。

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「Rolling stone gathers no mos (転石苔を生ぜず)」の言葉の意味が日本と欧米諸国で意味が逆転しているのは有名な話だ。つまり日本では、転職を繰り返すなどして腰を落ち着けることができない人は苔を生じないという悲観的な意味で、それは技術の習得もままならない、我慢強さの足りない人を指して用いられる。対して欧米では、常に転がり続けることによって苔など生える余地のない、常にフレッシュで活動的な人のことを指して肯定的に語られる。

 元来の日本において転職は悲観的な行為であり、転職経歴などあまり大きな声では言えないという風潮があった。だが欧米においての転職は 「キャリアを積む」 ということに直結するため、転職経歴は人前でも誇って言えるものらしい。そして誇って言うためには、当然にも証明するものが必要となる。だからドイツで就職活動をする際には、これまでの経歴を証明する書類 Schein を、一枚でも多く持参して面接に臨むのだ。

 この文化はドイツのみならずオーストリア、スイス、チェコ、ポーランドでも聞いた事がある。しかしよくよく調べてみると、欧米文化では一般的なことらしい。つまりヨーロッパ人にとって証明書の発行は当たり前のことであり、就業経験のある人は必ず書類を提出できるものだと思い込んでいる。

 ボクはまだ正確な情報を掴めていないのだが、恐ろしいことにどうやらこの文化は南米でも北米でも中東でも同じらしい。つまりヨーロッパ人にしてみれば 「世界中で当たり前」 のことと思われている節がある。

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 ボクの友人が大学に指摘されたのは、そういう状況からすればもっともな話だ。実はボクも以前同じ事で指摘されたことがあり、そのときは何とか説明して事無きを得たのだが、昨日ボクに Help を出してきた友人の場合は大学側をうまく理解させることができなくて困っていた。取り敢えず大学への説明方法を教えておいたのだが、果たして結果はどうなるだろうか。

 文化は国毎に違うが、外国人居住者の多いドイツにおいては、どんな違いも説明さえすれば比較的簡単に分かってもらえる傾向にある。しかしこの経歴証明の違いに関して理解させるのは、そう簡単でない。

 中国ほどでないにしても、日本の文化にも世界の非常識な部分は結構多い。大使館など公的機関による周知、公的説明書類の発行が必要だ。今度、大使館に行ったときにでも理解を求めたいのだが…、果たして乗ってくれるだろうか。



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