DSH: 試験科目

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重要
2004年6月に改訂された新しいDSH実施基準による試験が各地で始まったため、この項目は近く書き直されます。なお、以下は2000年にまとめられた Rahmenordnung を元に記述されています。記事訂正は2005年12月より順次行う予定です。あしからずご了承下さい。詳細は 近況情報 を参照


 試験科目、そして設問形式に関しては、市販の DSH対策問題集 に詳しく解説されている。よって設問の解き方などについては本稿で触れないこととする。むしろ本稿では市販書に解説されていない、語学学校の先生も知らない情報に限定して紹介する。
LV - Leseverstehe 長文読解
HV - Hörverstehe 聞き取り
TP - Textproduktion 作文
GR - Grammatik 文法

MP - Müntlichprüfung 口頭試験
LV - Leseverstandnis (長文読解)
LT - Lesetext (長文読解)
TA - Textanalysieren (長文読解)
HV - Hörverstandnis (聞き取り)
TS - Textschreibung (作文)
TK - Textkonstrieren (作文)
AS - Aufsatz (作文)
ST - Struktur (文法)

WS - wissenschaftliche Strukturen
......などなど

 試験科目という書き方をすると、考えられる可能性は5科目。まずは左表 (水色) を参照して欲しい。一般的には LV、HV、TP、GR の4科目が科されるが、この試験の結果成績がギリギリ合格点を下まわってしまった人には更に MP が科され、最後のチャンスを与えられる。また大学によっては最初から MP も組み込まれていて全員に5科目が科される場合もある。しかし MP は1人3〜5分程度としても全体としては非常に時間のかかる試験なので、最初から5科目を要求するのは比較的小規模な大学しかありえない。

 ちなみに科目の呼称は大学毎に若干異なる。例えば左表下段 (黄色) がその例だが、LV ではなく LT と呼ばれる場合もあれば、TA の可能性もある。これらは単に呼び方が違うだけで、呼称によって内容が大きく変わるわけではない。ただ、突然聞いたことのない科目を突き付けられると怖気づいてしまう人もいるので参考までに挙げておく。本稿では原則として左表上段 (水色) の呼称を使用する。

LV - Leseverstehe 長文読解
 試験時間は1時間前後で、大学によっては1時間半。問題文はA4用紙1枚から2枚分。文章は場合によって2枚半に及ぶこともあるが、大抵は1枚半から2枚が相場だろう。問題用紙が配られたら、まず最初に注釈、Worterklärung に目を通そう。次に問題用紙の各設問を理解し、その上で文章読解に着手する。

 難解な単語は注釈によって解説されているものの、ここで説明されるのはあくまで専門用語のみであって、「多少難しいかな」 程度の単語の説明はなされない。出題者側しても全てのを単語を受験生が理解できるとは思っていない。多数の未知単語が現れるのは想定の上で、他の周囲にある文章や単語群からある程度類推して理解する能力が求められている。このことをテスト直前にわざわざ説明する大学もあるくらいで、とにかくたった1〜2年勉強した程度の外国人が全ての単語を理解できるわけないのだから、未知単語に怯えず冷静に対処できる心構えを普段から養っておく必要がある。周囲の様子を横目で見ていると、目安としては制限時間の5から6割を読解に当て、残り時間を解答に費やす受験生が多いようだ。ちなみに、問題文は大抵テスト後に回収される。問題用紙にも名前を書くようにという指示を出す大学も多く、受験生の持ち帰りには強く牽制しているようだ。

 出題されるテーマは大学毎に傾向がある。大学のお膝元にある語学学校ではこの傾向を常に分析しているため、第一志望校が決まったらその大学がある街で語学学校を探し、DSH対策クラスに入るのが近道だ。ちなみに出題テーマは大学内に占める学科割合、例えば医科系に強い大学か、文学系に強いのか、心理学か、経済学か、環境学かといった違いもテーマに大きく反映される。もちろん TU - Technische Universität (工科大学) と Universität 総合大学 の出題傾向も大きく違う。その大学が最も力を入れている学科に関するテーマが選ばれやすいので、志望大学の特徴や性質は十分に理解しておこう。

 また過去数回分の過去問を入手して傾向を調べることによって、知っておくべき単語の幅をある程度は絞ることができるはずだ。最近では、ホームページから DSH の過去問やモデルテストをダウンロードできる大学が増えてきたが、全ての大学が公開しているわけではない。もし志望校が過去問をインターネット上で公開していない場合は、大学のDSH担当課に過去問のコピーをもらえるか直接尋ねてみよう。また場合によっては、大学に願書を郵送で請求すると返信時に過去問を同封してくれることがある。この確率は実は結構高く、10校申し込めば4〜5校くらいの割合で同封してくれる。
 
 LV 中の辞書の使用については許可される場合とされない場合がある。このことは最初に受け取っているDSH受験の案内書に明記されていることもあるが、試験会場で突然 「辞書の使用を認めます」 と案内される場合もある。辞書を持参していないと当然にも不利になってしまうので、例え案内書に書かれていなくても辞書は持参すべきだ。このとき使用できる辞書は大抵 独独辞典 のみだが、大学によっては突然 2カ国語辞書の使用を認める場合もある。ボクの経験でも、案内書には 「独独辞典のみ認める」 と書いてあったのに、 LV の直前に 「2カ国語もOKにしましょう」 と状況が変更されたことが1度あった。辞書は2種類持参しても損はないと思う。

 
HV - Hörverstehe 聞き取り 
 テキストが2回朗読され、後で設問に答えるのが LV だ。試験時間は30分、45分、あるいは1時間の場合もあるが、この時間計測は2回目の朗読が終わってから開始される。録音された音声を流す大学もあるが、教員が実際に読み上げるタイプの大学の方が圧倒的に多い。したがって、教室がいくつかに分かれているときは朗読者によって 「聞きやすさ」 に大きな差が生じる。教室の配分は大抵、受験生の苗字 Nachname のスペルによって振り分けられるので、聞きやすい発音の朗読者に当たるか否かは運以外にない。しかし聞きやすい場所を故意に先取りすることは (恐らく) 可能である。
パターン1 パターン2 パターン3 パターン4
1, 設問の配布
2, 設問理解に5分
3, 1回目の朗読
4, 5分間のメモ時間
5, 2回目の朗読
6, 試験時間開始
1, 設問の配布
2, 設問理解に5分
3, 1回目の朗読
4, 2回目の朗読
5, 試験時間開始
1, 1回目の朗読
2, 5分間のメモ時間
3, 2回目の朗読
4, 設問配布
5, 試験時間開始
1, 1回目の朗読
2, 2回目の朗読
3, 設問配布
4, 試験時間開始


 HV は会場の前の方の席を陣取る方が地声で聞けるため、スピーカーを通したマイク音声より聞き取りやすいのは当然だ。そして多くの大学で席順は受験番号どおりではなく、先に教室に入った受験生から順に座っていく形式が採られる。これは完全に自由席の場合もあれば、前から順に詰めて座るように命じられる場合もある。

 もちろん場合によっては、最初から受験番号が机に貼られていることも稀にある。しかしこういう指定席方式はあまり意味がないらしく、ボク自身1度しか経験していないし、他のDSH経験者からも滅多に聞くことはない。よって会場には早目に入るのが得策で、このためには早目に受付を済まさねばならない。結果的に朝早くから並ぶ受験生の列の、更に前に立つ努力を必要とする。
オリジナルテキスト
 「自動車の排気ガスは停車中および発進時に最も多く排出され、また走行時においては速すぎる速度でも遅すぎる速度でも多量の排気ガスが発生する。フランクフルト - ミュンヘン間の高速道路で実験した結果もっとも排気ガスの排出量が少なかったのは 85Km/S で走行した場合であったことが、マールブルク大学の環境学者 Jens Hofmann らによって明らかにされた。この結果からできる限り自動車を目的地まで止めることなく、前出の速度で流れ続けるシステムの構築が急がれている一方、ミュンヘン市内では既に…」

実況解説タイプの朗読者
 「自動車の排気ガスは停車中および発進時に最も多く排出され…、つまり…、止まっててもラジオやGPSが電力を使うことによってもガソリンが使われて、多くの排気ガスが出てしまうわけですね…。次に行きますよ (深呼吸)。…また走行時においては速すぎる速度でも遅すぎる速度でも多量の排気ガスが発生する。フランクフルト - ミュンヘン間の高速道路で実験した結果もっとも排気ガスの排出量が少なかったのは 85Km/S で走行した場合であったことが、マールブルク大学の環境学者 Jens Hofmann らによって明らかにされた。結局のところこれは…、猛スピードで走らせた場合だけでなく、85キロ以下で走っても環境には悪影響があるということです。…この結果からできる限り自動車を目的地まで止めることなく、前出の速度で流れ続けるシステムの構築…、いいですか? 「前出の速度で流れ続けるシステムの構築」 …が急がれている一方、ミュンヘン市内では既に…」

多様表現タイプの朗読者 (2回目の朗読の例)
 「ミュンヘンでは………。これはマールブルク大学の環境学者 Jens Hofmann らの研究成果から導き出されたもので、近未来的な道路交通システムの雛型として注目を集めている。自動車の排気ガスは停車中および発進時に最も多く排出され、また走行時においては速すぎる速度でも遅すぎる速度でも多量の排気ガスが発生することは以前より知られていたが、Hofmann らがフランクフルト - ミュンヘン間の高速道路で行った実験により 85km/S がもっとも排気ガスを出しにくい走行速度であることがわかってきた。ミュンヘン市の試みは既にある一定の評価を受けつつある。しかし目的地までほとんど停止することなく、一定の速度で流れ続けるシステム構築を、いかにより広域に整備していくか。それが今後の課題として残されている。
注意: 上の文章はボクが本稿用に例として作ったもので、事実とは全く関連がありません。完全なインチキ記事ですので、「なるほどぉ〜」 などと感心しないで下さいね♪

 最初に設問を配る場合が圧倒的に多いが、大学あるいはゼメスターによっては、朗読のあとで設問が配られる場合もある。最初に設問が配られる場合は、大抵5分間の時間が与えられ、この間に全ての設問を理解しなければならない。朗読スピードは朗読者毎に差が生じないよう配慮されているはずだが、受験後に情報を集めてみると、どうもかなりのばらつきを感じる。これは特定の大学の問題ではなく、録音された音声を使わないほとんどの大学で見られる問題点だ。にもかかわらず録音テープを利用しない理由についてボクが4つの大学に問い合わせたところ、意見は4校とも完全に一致した。答えは 「大学での講義は常に地声だから」。あくまで学生として大学で学ぶのに必要な能力を試す試験なのだから、地声で語られる講義を理解できねば意味がないということなのだ。

 HV の出題方法は大学毎にかなりのばらつきがある。まずは試験手順だが、ボクの知る限り上の表のような数パターンが存在する。DSH対策問題集や一般的な語学学校で説明されている手順には 「パターン1」 が多い。よってこの方式に従って受験生は HV の練習問題を解いているわけだが、実際にはこの方法だけが全てではないのがわかる。会場でいざ HV が始まってみると 「練習と違う!」 なんて言ってあたふたしている受験生を見かけることがある。練習問題を解く際にいろんなパターンに対応できるようにしておこう。

 次にメモに関してだが、まずメモ用紙が HV 直前に配布される。配布枚数は2〜3枚。いい加減に配る担当者もいるので、規定の枚数より少ない場合はちゃんと申し出よう。メモ用紙にも名前を書かせる大学が多い。この場合は大抵メモ用紙もあとで回収される。メモは聞き取りの最中と、聞き取り後のメモ時間に行うのがセオリーだが、大学によっては 「1回目の朗読中にはメモ禁止!」 という場合がある。メモを取らずに、ただ静かに聞くだけの練習もちゃんとしておこう。

 朗読方法は朗読者によって大きく異なるが、1回目をゆっくり読む朗読者は、2回目が非常に早かったりする。またこの逆バージョンも見られる。1回目がゆっくりだったからといって余裕な顔をしていると、2回目で撃沈してしまう可能性もあるので注意が必要だ。とにかく1回目でほとんど理解できるように勤め、2回目はあくまで聞き取れなかった個所の補充と、内容全体の確認に費やすのが正しい方法だ。

 朗読者による最大の差異は、朗読中に独自の解説を加える 「実況解説タイプ」、1回目と2回目で文の体裁を変えてしまう 「多様表現タイプ」 が存在する点である。これらは受験者数が比較的少ない、即ち会場が複数の教室に分かれていない場合により顕著に見られるのだが、実は教室が分かれている場合でも朗読者の裁量によってこのタイプの出現する可能性が稀にある。実況解説タイプとは例えば…、まずは左枠のテキストのうち、最上段の仮想 「オリジナルテキスト」 を一読して欲しい。

 次に下段 「実況解説タイプの朗読者」 の内容と、オリジナルテキストを比べてみよう。オリジナルテキストの文章は全てちゃんと読んでいるが、朗読者独自の解説が加えられている。一見分かりやすそうなのだが、1回目と2回目で違う説明をしたり、全く違った例を朗読に混入させるため、時に受験生が混乱してしまう場合もある。こういった HV もあるんだということを事前に頭に入れておけばいいのだが、いきなりこういう朗読に出会うとアタフタしてしまいかねない。

 そしてその下にある 「多様表現タイプの朗読者」 を見て欲しい見て欲しい。テキストの内容はほぼ同じだが、説明文に順序や使われる単語にかなりの差がある。LV を聞きながら要所要所でキーワードになる単語をメモしていくわけだが、1回目の朗読で書いたキーワードと同じ単語が2回目の朗読に出てこないと非常に焦る。LV に自信のある人はよしとして、自信のない人はいろいろなタイプの朗読者を想定して練習することも必要ではないだろうか。

 最後に Worterklärung の時期について。これも大学によって異なるが、大抵は朗読が始まる直前だ。解答用紙に単語が説明されていたり、あるいは口頭での説明があったりしたら、この時点で既にその単語の省略形まで考えておこう。例えば…、

WÖRTER:
Ammensprache -

Sprache, die bestimmte Merkmale der gesprochenen Sprache
für Kleinkinder besonderes betont und übertreibt

と書かれていれば、この Ammensprache という単語は朗読中に必ず出現するはずだ。聞いていてメモする可能性も当然高いわけだから、こういう単語は朗読開始前から省略形を考えておく。例えば A-spr. でもいいし ASp と略すのもイイだろう。またどうやらこの文章中、「言葉」 が重要な役割を示しそうなので、「Sprache は全て Sp にしよう」 くらいの先回りは必須である。

 しかし場合によっては事前に単語説明がなく、朗読最中に朗読者が突然黒板に殴り書きするかもしれない (ボク自身3つの大学でこれを見た)。だから朗読者の挙動には十分注意しよう。そしてもう一つの可能性としては、朗読終了後になってようやく単語を解説する場合がある。聞いている最中に分からない単語が出てくれば、これは考えても分からないので聞き流してしまいがちだ。だが後になって説明される場合もあるので、意味が分からなくても重要そうな単語があればどの単語に付随して使われたかを軽くメモしておこう。
設問: 「環境問題に関してドイツは積極的に取り組んではいるが、問題も山積みである。あなたの国ではどのような取り組みが行われているか、そしてそしてそれを遂行する上での大きな障害はなにか。あなたの意見を書きなさい」。
解答例1:
 日本ではゴミ問題が深刻化し、埋め立てゴミを如何に減らすかが重要な問題として取り上げられている。各地方自治体でさまざまな対策が採られているが、その最たるものはゴミの分別回収である。当初は企業から出る産業廃棄物に対してのみ厳しい分別の義務が課せられたが、今日では家庭から出る生活ゴミに対しても極めて細かな分類が要求されている。長野県には40種類以上の分類を義務付けた自治体が存在あるそうだが、私の故郷の街では19種類に分別することになっている。この分類方法は実は統一されておらず、市町村によって大きく異なる。よって新しく街へ転入してきた人々にとって、これを理解するのは大きな苦痛となっている。・・・(以下略)
解答例2:
 日本ではゴミを減らすために、再利用できるものと、できないものとを分けている。これによって、今までは捨てていたたくさんのゴミが、再利用できるようになった。再利用できるものが増えると、捨てるものは少なくなる。最近では多くの街で、ゴミがたくさんの種類に分けられている。私の故郷の街では19種類に分けられる。聞いた話によると、40種類以上に分ける街もあるそうだ。19種類に分けるのも大変だが、40種類はもっと大変だ。ゴミをどうやって19種類に分けるかを私は覚えた。しかしもし引っ越したら、新しい街の分け方を知らなければならない。よく引越しをする人には、きっと大変なことだと思う。大事なことだが、ここまでやるべきか否か疑問だ。・・・(以下略)



TP - Textproduktion 作文
 TP のテーマの与え方もいくつかのパターンがあるが、ポピュラーなのは自国との比較。例えば LV か HV の内容に関連し 「では、あなたの国ではどうですか?」 といった状況比較の文章を求めるものだ。日本の宗教や習慣、政治・経済、社会・環境問題に関する作文を、DSH前に何度か書いてみるのは効果的な学習法だと思う。ことさら日本的な事象を説明する単語に関する知識は蓄えておこう。たとえば宗教というテーマで日本を書くなら、「仏教、仏教徒、寺、僧侶、神道、神社、キリスト、キリスト教、キリスト教徒、イスラム教、イスラム教徒」 くらいの単語は知っておいて損はない。政治なら 「総理大臣、首相、自衛隊、官僚政治、増税、減税、国会、議員、政党、法案、可決、審議」、教育問題なら、「公立、私立、授業料、入学金、入学試験、教育費、塾、専門学校、予備校」、経済なら 「終身雇用、労働組合、年功序列、有給休暇、ボーナス、労働時間、サービス残業、過労死、為替相場、バブル経済、景気・好景気・不景気、円高、経済破綻、倒産、脱サラ」 なども知っておくと便利だ。

 さて、TP はどのように採点されるのだろうか。実のところ、論述内容はあまり重要ではない。もちろん設問の意図に沿った内容でなければならないが、重要なのは最低必要単語数を満たしているか、文法的間違いはないか、文章が完結しているか、である。例えば右の枠内のような例題を想定してみよう。解答例1と2を比較すると、表現的には小学生と大学生くらいの差があるのに気付くだろう。しかし DSH の TP で求められる内容レベルは 「解答例2」 のレベルだ。難しいことを書く必要はまったくなく、ただ文法的にエラーのない文章になっていればそれでいいのだ。スペル間違いも減点になるので、難しい単語は使わないのが得策だ。とにかく簡単な文章を書くこと。その文章の中で必ず受動文、副文 (Nebensatzのことを日本語ではこう呼ぶらしい)、関係代名詞 (Relativsatz の日本語訳ってこれでいいんだっけ?) を各一回は使うように心掛けよう。

 次に重要なのは文字数だ。最低必要文字数は大抵設問用紙に書かれているか、あるいは口頭で説明される。場合によっては全く説明のない場合もあるが、こういう場合は200〜250ワードを目指そう。どこの大学でも大抵は200ワードが基準である (150 ワードの大学も稀にある)。そして規定文字数を超えていなければ、その時点で TP の点数は0点となり DSH 自体が不合格となる。200ワードの計算方法だが、これは文章中の全ての単語を計算に入れる。つまり、

 Ich habe gestern einen Hamburger im Mc.Donalds gekauft.


 だったら、8ワードという計算だ。試験中に 「いま何ワードだろう」 と数えていては時間の無駄。自分の手書きの字の大きさで、どのくらい書けば200ワードに相当するのか、実際に何度も書いて書いて把握しておこう。その際シャープペンシルで練習しても意味がないので、必ずテストで使用する筆記用具を使おう(これに関しては別稿参照。。

 では 「多く書けば心配ないのか?」 と言えばそうでもない。採点では各行にいくつの間違いがあるかを探し、最後にそれらを合計して減点する方法が採られる。例えば一行に平均15ワードほど書く受験生を想定してみよう。単純計算して最低13〜14行は書かなければならない。仮にこの人は一行に一つづつエラーを犯すとすると、14行で14のエラーが発生する。もしこの人が調子に乗って30行の作文を書いたとしよう。するとエラーは30箇所。この場合は30行書いた方が圧倒的に不利だ。コツは20ワード以上の作文を書きつつ、しかしできるだけ短くまとめる。難しい単語、性の分からない名詞、支配する前置詞が不確かな動詞などは極力避ける。とは言っても、200ワードを超えたからといって、そこで簡単にペンを置いてはいけない。文章は必ず完結させよう。結論を書いて文章を完結させつつ200ワード程度にまとめる。それが 「技術」 というやつだ。

 所用時間は多くの大学で1時間程度を充てられる。短い場合は45分という大学もあるが、一方で1時間半の場合もある。しかしこれ以上長かったり短かったりすることはまずないので、それぞれの時間の長さで練習を積んでおくことが肝要だ。


GR - Grammatik 文法
 勉強する上で文法は重要なのだが、実は DSH での文法テストに対する配点割合はあまり大きくない。むしろ大学によっては GR の時間をまったく設けない場合さえある。そもそも TP で長文を書く中、文法間違いがあれば減点対象。わざわざ GR を設けなくても文法知識のレベルを図ることは可能だからだ。では逆に、GR ではどんな問題が出題されるのだろうか。傾向を調べると大きく二つのタイプに分けられる。つまり 「さらっと型」 と 「みっちり型」。

 「さらっと型」、つまり問題数自体が少なく、場合によっては5〜10問程度しかない。TP で大まかな文法レベルは試せるが、文中に複雑な表現を含めていない場合がある。こういう場合にために出される数少ない文法問題は、ほぼ 「書き換え問題」 に終始しがちだ。例えば、

「次の文章のうち副文を使っているものは副文を使わない形に、副文を使っていないものは副文を使う形に書き換えよ」
「次の受動文を能動文に、能動文を受動文に書き換えよ」

といった感じだ。一見すると簡単なようだが、かなり難解な問題を出される場合が多いので 名詞化 Nominalisierung や 動詞化 Verbalisierung、接続詞・前置詞・副詞の相互変換、助動詞の目的格的・主格的用法 objektive und subjektive Bedeutung、それに左右属性 links und rechts Attribut に関する知識が必要だ。出題のし方としては書きかえるべきそれぞれの文章を改めて提示する場合と、LV の長文上に下線が引かれていて、「45行目の下線部分を書きなおした下の文章の空欄を埋めよ。ただし文の意味を変更してはならない」 などと引用される場合がある。

 これに対し 「みっちり型」 では問題数が極めて多い。例えば 「文章中の空欄を埋めよ」 とあり15〜30行くらいの文が提示され、形容詞の語尾変化や対応する前置詞、接続詞、冠詞などの記入を要求される。あるいは 「次の文章のうち受動文はすべて能動文に、能動文は全て受動文に書き換えよ」 など。次に 「さらっと型」 と同じく難解な文の書き換え問題。更に Relativsatz をひたすら作ってみたり、受動文ではなく「受動的な意味を表す文に書き換えろ」、「助動詞を使わずに可能を表す文に書き換えろ」 などといった問題が延々と続く。みっちり型の場合は時間配分に注意が必要だ。

MP - Mündlichprüfung 口述試験
 残念ながら、情報が少なすぎるためここでは解説しない。


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出題テーマの予測
 テーマには一般的な学術テーマももちろん多いが、時に時事問題を取り上げることもある。例えば2004年には多くの大学で、アテネオリンピックに関するテーマが取り上げられた。例えばオリンピックの歴史、なぜオリンピックが始まったか、当初の目的と現在の目的の変化、選手によるドーピング、オリンピック準備にまつわるアテネ市の動きや諸問題、オリンピックと経済活動、オリンピックの変遷と今後、オリンピックと意義と抱える問題、などなど。また同年から2005年にかけてトルコのEU加盟問題が話題となり、「ドイツにおけるトルコ人と文化の流入」 やこれに付随した 「外国人の流入と、これに伴うドイツの変化」 なども DSH の問題として取り上げられた。また2005年は戦後60年を迎え、原爆投下などに関する文章もいくつかの大学で取り上げられたようだ。また一方でドイツの主要政党 CDU の掲げる 「大学授業料徴収政策」 が4つの州で本格化したことを受けた出題情報も、ボクの元に何件か寄せられた。このように時事問題は複数の大学で同じテーマが取り上げられる可能性がある。よってそのテーマに関する単語を調べておくとか、実際に200ワード程度作文を何通りも書いておくなどの対策は効果的といえる。世界的に話題となった事件事故については、ある程度察知しておく必要があるだろう。

 それと大学毎に得意な分野がある。例えばTU - Technische Unibersität 工科大学 では化学・物理などの問題が頻出するし、医学部の強い大学では薬学や先進医療の話題、社会科学系に力を入れている大学、環境問題に強い大学、哲学の有名な大学など、大学固有の情報もテーマ予測の材料となりうる。大学に関する情報は設置学科からも分かるが、他にも例えば大学ランキング これについては別稿参照 も有用な情報を与えてくれる。



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DSH 出題方式のタイプ
 実際の試験会場での試験の順番だが、LV が最初で GR が最後、そして中間にある HV と TP の順番は大学によって前後するのが一般的だろう。しかし実のところこの順番、試験問題の性質によっても大きく変動する。いろいろな大学のDSH の出題方法を調べてみると、いくつかのパターンに分かれているのが分かる。

 4科目全てが独立していて、それぞれ全く違ったテーマを取り上げる場合はもちろん多いが、一方では全科目同じテーマで統一される場合もある。独ボクでは便宜的に前者を 「テーマ分散型」、後者を 「テーマ集約型」 と呼ぶことにする。またテーマ集約型は更に 「流用タイプ」 と 「蓄積タイプ」 の2タイプに分かれ、前者は LV の文章をそのまま GR の書き換え問題に使ったり、LV に出てくる一部の事象について取り上げ 「あなたの国ではどうですか?」 といった出題傾向で、まさに問題を他の科目から 「流用」 してしまうタイプ。
DSHの出題タイプ

DSH テーマ分散型
テーマ集約型 流用タイプ
蓄積タイプ

 これに対し後者の 「蓄積タイプ」 はかなりの曲者だ。例えば LV で取り上げたテーマを十分に理解していることを前提に HV が始まり、LV と HV の内容を総括的に吟味した上で作文 (TP) しなさいと要求する。またあるいは、文章中のいくつかの段落や文章・単語が抜け落ちた LV の問題文がまず配られ、抜けた部分は HV で補って理解し、その後 LV の問題を解きなさいと要求する。まさに課題の 「蓄積タイプ」 とでも言うべきもので、万が一最初の科目で不明な点が発生すると、全科目に影響してしまうという恐るべき形態だ。

 傾向としてはテーマ分散型よりテーマ集約型の方が若干多いように思われる。



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2005.10.05 kon.T in Heidelberg, HRZ


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