ドイツの語学学校へ

07、クラス当たりの生徒数 メニュー
 「クラス当たりの生徒数」というデータが、重要なのは誰にでも理解できると思う。これまでのボクの体験では、一クラス12人までがなんとか許せる範囲で、13人になった途端に飽和状態を感じた。学校選びにおいては、一クラス10人前後という学校をできれば選びたいものだ。ボクが2003年末までに体験した一クラスの生徒数は左表の通り。実感として、11人と12人の差はあまり感じなかったが、11人と10人の差は大きい。
(2003年末現在)
ボクが体験した
1クラスの生徒数
 3人、4人、6人、
7人、8人、9人、
10人、11人、
12人、13人、
16人
(全てボクを含む人数)
最適なのは恐らく8人か9人で、6人以下になってしまうと逆にストレスを感じることがある。
学校名 平均 最大
GLS-Sprachenzentrum 9 12
Colon Langage Center 8 12
Deutsch Institut 15 18
Uni Leipzig interDaF 12 15
BiBiS 13 17
LIS 4 8
zentrum 12 16
SPRACHCAFFE 5 8
europa-kolleg kassel 8 12
EUROCENTRES 12 13
speak+write 8 14
KAPITO 6 8
ADK 7 10
Sprachenkolleg Freiburg 21 25
COLLEGIUM PALATIUM 12 14
HSF 12 14
Hermann-Hesse Kolleg 9 15
A.S.L. 10 14
inlingua 8 15
Cultura Wien 10 15
iki 14 16
SIT-Sprachinstitut 11 15
Anglo-German Institut 5 7
HORIZONTE 9 12
Germanlingua 6 12
OISE 6 8

 語学学校のクラスが生徒のレベルに合わせて編成されているといっても、クラス内で最も話せる生徒と最も話せない生徒の間にはかなりの差がある。教員に質問されてもなかなか答えられない、黙ったままうつむいてしまう、見当違いな答えを延々と話しつづける、などの弊害は必ず起こるものだ。

 しかしこれらの問題、実はクラスの生徒数が多くなると案外解消されやすい。教員は黙り込んでいる生徒が何を悩んでいるのか分からず、手出しできなくなることがあるが、生徒が8人くらいになると大抵は生徒の誰かが問題を発見して、あるいは話を別の方向に逸らしたりして授業を元に戻してくれる。このような他生徒の援助がない場合、分からない生徒はいつまでも黙りつづけ、教員にとっても他の生徒にとっても、何より黙っている本人にとって非常に辛い時間が延々と流れ続けることとなる。よって6人を切るようなクラス編成もあまり望ましくないと言えよう。

 ところが、実は3人以下になるとまた状況が変わる。どうやら受け持ちの全生徒の進度や理解度を、先生が完全に把握できるのは3人程度が限界ではないかと思う。つまり一人の教員が最も効果的な授業を行えるのも、実は3人程度が限界で、ほぼマンツーマンに近い授業を望むなら3人を超えるべきではない。また語学クラスに在籍して、最も効果的な授業を受けたいと望むなら8〜9人がベストだ

 もちろん実際にはクラスのメンバー構成、つまり反りが合わなくて常に対立している生徒(宗教的な問題も含む)が居たり、レベルの高過ぎる生徒が一人で授業を仕切ってしまったりと、状況によって違った問題も生じるので、一概に何人が最適とは言い難い。またそのクラスをどう感じるか、何人くらいのクラス構成が好ましいか、というのも人によって感じ方が違うだろう。よってこれはあくまで目安に過ぎないのだが、ボクがいろいろな街、いろいろな学校で多くの友達と話した結果、凡そ上記のような結果となった。

 さて、実際の学校案内にはどのように書かれているだろうか。右の一覧表を見てほしい。「成功する留学 ドイツ・スイス・オーストリア編2001-02」(ダイヤモンド社刊 2000 Tokyo)の情報をもとに作成したものだ。その中、黄色の太字で示したのは実際にボクが学んだ学校だ。Uni Leipzig Herder Institut interDaF (以下 interDaF) でのボクのクラスは17人だった(2001/10)。学校案内では一クラス15人以下と書いているが、実際には最大数より2人多かった。

 ADK-Augsburger Deutschkurs では6ヵ月間に4つのクラスを経験し、それらのクラスのメンバーは毎月増減した。最初は11人、4人、3人、13人、9人。このうち11人の月と13人の月は、学校が言う「10人以下」という数字を超えている。Cultura Wien ではサマーコースを計4か月(2001/2002) 受講したが、一クラスのメンバーは16人、13人、8人、17人だった。これも高唱15人以下を上回っている。

 このリストにはないが、ハイデルベルクで通った Heidelberger Pädagogium は「最大10人」という案内だったが、通った10ヵ月のうち12人の月が2回、11人の月が1回あった(友人のクラスは14人だった)。またトリーア大学で受講したDSH準備クラスの定員は一クラス20人だったが、ボクのクラスはたまたま22人だった(他のクラスは19人から20人だった)。

 どの学校も、クラス編成は 「学校案内」 での高唱をおおむね守ってはいるはずだが、それは確実ではないことがボクの経験から分かるだろう。例えば上記の Cultura Wien は在籍した4ヵ月間4クラスのうち、2クラスで最大定員を超えている。学校側の言い分としては 「サマーコースだから」 と言いたいのかもしれないが、これははっきり言って契約違反である。しかし Cultura Wien に夏季以外に受講した友人によると、13人を超えるようなクラス編成は夏季くらいのものだという。

 クラスのメンバーが多すぎると感じ、事務所に文句を言いに行った事もあった。そういう時はどのこの学校でも平謝り状態ではあったが、この手の問題はどうやらどこの学校にもあるようだ。ミュンヘンのゲーテに通っていたという友達でさえ、そのようなことが一度あったと話していた。ボク自身も7つの学校を渡り歩いてみて思ったのだが、この契約違反はそれほど重大な違反ではないらしい。

 日本人はちょっとした契約違反があるだけで憤慨しがちだ。それは 「12人以下」 と書かれていたら 「必ず12以下に間違いない」 と思い込んでしまうところにあるのかもしれない。しかしヨーロッパにおいて、それはいつも守られるものではないことを理解しなければならないようだ。さて、その上でもう一度上記の表を見て欲しい。もし一クラス10人以下の学校で勉強したいと心から望むなら、学校案内に「10人以下」と書かれている学校ではまだまだ確実性に欠ける。1割か2割引いて、最大8人か9人と表示している学校を探す必要があるということだろう。

 ボクは本稿で「我慢できる最大は12人、最適なのは8人か9人」と書いた。しかしこれはあくまでボクや友人らの判断であって、万人がそう思うものではない。中にはより多くの仲間と勉強したいという人もいるだろう。まずは、何人くらいのクラスメイトと共に授業を受けるのが、自分にとって適切かを知らなければならない。その上で初めて、どこの学校を選ぶかが問題となる。もちろんマンツーマンに勝るものはないだろう。しかしそれには多額の資金を費やす必要がある。自分の性格と、何を学びたいか、そして自分の軍資金をよく理解して、その許せる範囲内で選択しなければならない。

2004.04.16

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