05、受験可能なテストの種類と設置コース |
メニュー |
学校選びに欠かせないのは「どんなコースが設置されているか」という情報である。例えば資格を得たい場合などには、その専門コースに入るのが近道だ。ではドイツの語学学校で設置されているコースとはどんなものだろうか。どういう名称かについては学校ごとに違いがあるが、一般的な区分を下の表にまとめてみた。
まずは「レベル別」の欄から見ていこう。この区分については、学校毎に特に差がある。例えば did deutsch-institut では初級1A、初級1B、初級2、中級1、中級2の6レベルに分けていて、初級1Aは入門、初級1Bは100時間以上学んだ者としているらしい。また初級2は1年間、あるいは200程度のドイツ語習得レベルで、中級は4年程度ドイツ語を学びDSHやZMPを受験できる程度のレベル。上級は6年以上ドイツ語を学んだものを対象としている(「成功する留学 ドイツ・スイス・オーストリア編2001-02」より要約)。
しかしこの200時間とか1年という表現は非常にあいまいで日本人にとって非常に分かりにくいが、凡そ「時間」についてはドイツの語学学校で受講した時間を想定している。よってこの場合の1時間を、日本の大学などで勉強した1時間に置き換えるのには問題があるだろう。ドイツの語学学校で長期学ぶためには語学学生用のビザが必要だが、このビザ取得用件として語学学校で週20時間以上勉強せねばならないことになっている。よって上記の200時間という数字は、語学学校で10週間程度学んだ人のことを指すと考えるべきだろう。
入門
初級1
初級2
初級3 |
中級1
中級2
中級3
上級 |
クラス分けの例。各クラスとも最
短1ヵ月で終了するというシステ
ムが一般的。だからヨーロッパ
人などには8ヵ月ほどですべて
習得してしまう人もいる |
学校ごとの差はあれ、ドイツの語学学校の初級・中級という区分は凡そ Goethe
Institut (以下、ゲーテ)の区分を前提にしていると言える。初級はゲーテのZD、中級はZMP程度という語学力を目指している。なぜならゲーテはドイツ国家が外国人の言語教育機関として委託している正規の語学学校であり、ゲーテで受けられる語学試験は国家認定の公式資格として認められるからである。学校によってはゲーテの承認を得て、学校独自の試験をZD、ZMP試験と等位互換とし、国家認定(正確にはゲーテ認定)の合格証書を授与できることを売りにしている学校も多くある。
前出の did deutsch-institut では6レベルに分かれているが、ほかの学校ではどうだろうか。ボクが通った学校をいくつか例に挙げてみよう。まずアウグスブルクのADKでは、初級1、初級2、初級3、中級1、中級2、上級の6コースを設定している。最短でそれぞれ1ヵ月間。中級1あるいは中級2が終了すると、DSH準備コースを受講することができる。また初級終了にはゲーテの
ZD 合格程度の、中級2終了はZMP合格程度の実力を示さねばならないとしている。
ハイデルベルクの Heidelberger Pädagogium の場合は、中級の上に上級1、上級2があって、上級クラス在籍者がDSH準備クラスを受講できる。ボクはADKで中級1を受講中にハイデルベルクに移動したのだが、このときは学校側から上級1を薦められた。しかし実際に受講してみるとかなりレベルが高くて、中級の最上位クラスに移った。中級クラス終了試験はゲーテの
ZMP 終了と同程度としている。ちなみに Heidelberger Pädagogium の上級クラス1はADKの中級1か2、Heidelberger
Pädagogium の最上位クラスである Europakurs(ヨーロッパクラス)はADKの上級クラスに合致すると思われる。つまり呼称は学校ごとに異なるのだ。
Universität Leipzig Herder Institut - inter DaF (以下 inter DaF)は初級と中級の2つしかなく、それぞれ4ヵ月コースだ。中級終了がDSH合格と同等としており、中級終了試験合格によってザクセン州の大学入学が認められる。基本的に初・中級一貫教育。初級コースは中級コースのための布石と考えられているので、初級コース終了とゲーテのZDとは特に関連がないように思われる。
レベル別 |
時間別 |
入門
初級
中級
上級 |
インテンシブ(集中)コース
サマー(夏季)コース
ゼメスターコース
昼間コース
夜間コース
週末コース |
職能別 |
試験別 |
経済ドイツ語
教員研修
商業ドイツ語
職業ドイツ語
|
それぞれの試験毎の対策コース
TestDaF
DSH
ÖSD |
ドイツ語統一試験
ドイツ大学入学語学検定
オーストリア語学検定 |
ゲーテの試験 |
ZD
ZMP
ZOP
KDS
GDS
ZDfB
PWD |
基礎統一試験
中級統一試験
上級統一試験
小ディプロム試験
大ディプロム試験
職業ドイツ語試験
国際ビジネスドイツ語検定 |
|
その他 |
個人レッスン
グループレッスン
高校聴講
大学聴講
音楽などの語学外レッスンのミックス
大学のサマーコース |
ウィーンの Cultura Wein では初級1、初級2、初級3、中級1、中級2、中級3、上級の7クラスに分かれ、初級では日常会話中心、中級では基本文法の確認と新聞や雑誌などの平易な記事読解、上級では文学作品や専門分野のテキストを用いて複雑な表現について学ぶ(確か中級の生徒は学校内でÖSD試験を受けることができたと思う)。
さて、それぞれのレベルを簡単に説明したが、ドイツ生活の中でボクはこう感じている。初級を終了すると、取りあえず街を歩いていて不安になることは無い。道を尋ね、ホテルを予約し、電車の切符を買い、営業時間を聞き、あるいは商品破損の簡単な苦情まで、かなりイイ加減なドイツ語ではあるが表現できる。もちろん誤解も多いし聞き取りには問題が多い。しかし口頭と筆記を駆使すれば、大抵の問題は解決するはずだ。しかし新聞や雑誌はほとんど理解できない。感情表現や丁寧な言い回し、つまりフォーマルな表現はほとんどできず、日本語風に想像すれば「私はパンを買いたいアルがどこで買えるアルか?」といった感じだろう。
中級では主に文法の総復習、正しい文構造の理解、新聞や学術論文の一部を長文として読解するするのが目的。中級を終了すると、間違いは結構あるが、取りあえずフォーマルな手紙を書いたり、自分の考え・思索を口頭で展開したりできるだろう。大学で勉強しようと思ったら最低でも中級は終了させておかなくてはならない。かつては中級統一試験ZMP合格によって大学への入学を許可されたが、今日ではもう少し難しいDSH試験に合格するか、上級統一試験ZOPの合格証、あるいはTsetDaFのレベル5(大学によって差がある)の成績書が必要とされる。中級終了程度ではまだまだ美しい表現を使うこなすことはできないが、賃貸契約やビザ発行手続きなどの公的手続きを、一人でスムーズに進めることができる。
上級になると、非常に繊細な言い回しや感情表現などを理解する。文法的には正しいがドイツ人は使わない言い回し、あるいは文法的には間違っているが一般に使われる言い方などについて理解につとめ、美しいドイツ語表記、ドイツ語表現を身につける。
次に「時間別」について。学校案内パンフレットで「Intensivkurs / いんてんしヴくるぅす」という言葉をよく見かけるが、これは「集中コース」の意味で大抵の場合は授業数が週20時間以上のコースを言う。なぜ20時間という数字が重要かは別項参照。
日本と違い欧米の夏期休暇が長いのはよく知られた話だが、彼らはその間に旅行などして楽しんだり、あるいは学校に通って技術向上を図る人もいる。よって語学学校にとって夏は「儲けどき」であって、この時期の授業料は少し高い。参加する生徒数も場合によっては普段の2倍以上となるので、学校側としてもサービスには力を入れている。反面、この時期には臨時講師を雇うので、普段はどこにも雇ってもらえないような質の悪い教員が混じることもある。そもそも臨時講師ということは普段は教えていない、つまり経験の少ない教員の可能性が高い。また、学校側は生徒を一クラスにより多く詰め込もうとするので、通常より遥かに生徒数の多いクラス編成になりやすい。多くの友達を作りたいという人にとってサマーコースは打ってつけだが、語学習得のためにはあまりお勧めできない時期である。
ゼメスターコースというのもあるが、これは大学内の学校、あるいは大学と密接にリンクしている学校に多い。ドイツの大学(ヨーロッパの多くがそうだが)はゼメスター制というシステム(別項参照)をとっていて、大学には4月と10月に入学期がある。語学コースにもゼメスター制を採用している学校があるが、半年間一貫教育という効率の良い学習ができる反面、一度落ちこぼれると後は地獄という恐ろしい側面を持つ。しかし大抵は無料の補習授業も用意されているはずだから、一概に恐ろしいとばかり言うことはできないかもしれない。
さて、ドイツの一般的な語学学校は午前8時か9時に始まり、午後12時過ぎか1時には授業が終わる。しかし実はこの時間帯の料金が最も高い。午前クラスと午後クラスを用意している学校では、午後クラスの方が多少安い場合がある。もし安く上げたいと考えるならまた朝を避けるのがベストだろう。夜間クラスを設置している学校もあるが、もちろんこれが最も安い
(という可能性があるだけで、全ての学校がそういうわけではない)。
しかし夜間コースの場合は注意が必要で、夜間には1日2時間程度の短いコースしか設置していないところもある。しかしもし、夜間コースで、しかも週20時間の要件を満たすコースがあれば、これはかなりお買い得なコースと言えるだろう。また街によっては、午後6時以降専用の市内交通運賃割引定期券などもあるのでさらにお得。ただし、夜間コースに来るのはドイツで就労している人が多く、年齢層にはかなり差が出る。10代、20代の人が同世代の級友を求めるなら夜間コースはお薦めできない。
そのほかに週末コースというのもある。これはその名の通り土曜日のみの授業(ドイツで日曜日に授業があるわけがない)。週20時間以上という要件を満たすのは不可能だが、ワーキングホリデー・ビザなどをすでに取得していてビザに問題がない人にはありがたいコースだ。とにかく1つでもコースを取っていれば、学校が紹介してくれた部屋に住み続けることができるはずだから。
さて、問題の「試験別」だが、先述したようにドイツでの語学教育スタンダードはゲーテであり、ゲーテの語学認定は国際的にもあらゆる場面で公的に有効である。よって語学学校では、ゲーテの試験に受かるか否かを基準にクラスを編成することが多い。大抵は初級クラス(基礎クラス
Grundstufe / ぐるんとしゅとぅーふぇ)の終了がゲーテの ZD 試験合格レベル、中級クラス(Mittelstufe)終了が
ZMP 終了レベルを目指しているし、あるいは各テスト対策の特別クラスを設けている。テスト合格を目指すなら、それぞれの専門クラスの入るのが近道だ。
以前はZMP合格レベル(ZMPあるいは互換試験の合格書をもって)で大学入学を許可されたが、今日ではほとんどの大学で語学力不十分としている。よって
ZMP の次は ZOP 上級統一試験になるのだが、これは結構難しい。もちろんZOPに合格していれば大学側には(語学力に関しては)文句のつけようがない。しかしこれに合格するのは大変なので、大学が入学希望者のために設置したテスト
DSH - Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang / 外国人大学入学志願者ドイツ語試験 (どいちぇ しゅぷらっはぷりゅーふんぐ ふゅあ でん ほぉほしゅぅるつぅがんぐ)
を受けねばならない。
この試験を受けるためには、まず大学に願書を出して入学許可通知 ( Zulassungsbescehid
つーらっすんぐすべしゃいど)を受け取らねばならない。この通知を受けるには大学入学要件を満たしていなければならないのはもとより、ドイツ語の学習時間が最低600時間以上、あるいは
ZMP に準じる語学テストに合格していなければならない。「ZMPに準じる」とは、語学学校が独自に行っている中級クラス終了試験などを指すが、もちろん大学側がこれを認めない可能性もある。ボクのいた学校のテストはバーデンヴュルテンベルク州公認の語学学校なので、大学側はこのテスト結果を認めて
Zulassungsbescheid を出してくれた。
大学入学許可通知の例-2
(トリーア大学:表面) |
|
DSH試験は大学のゼメスター開始前の3月末と9月末がに行われるのが一般的。また、DSHは一生に2度しか受けることができない (詳しい情報と抜け道に関しては別項参照)。よって受験生は死に物狂いで勉強しなければならないので、DSH対策コースは多くの語学学校に設置されている。DSHクラスは大抵、DSHの2ヵ月か3ヵ月前から始まる。語学学校によってはDSH出題者を講師に起用している場合もある。
DSHは各大学ごとに実施されるので、DSH対策コースを受講するなら第一志望の大学がある街の語学学校に入ることが望ましい。例えばハイデルベルクで通った語学学校のDSHクラスは、ハイデルベルク大学の過去問を練習問題に使うし、アウグスブルクで通った学校のDSHクラスは、アウグスブルク大学のDSH出題者が講師として参画していた。
DSHは出題傾向だけでなく、出題する内容に関しても大学ごとに少し違う。例えば工業系の学科の多い大学では機械工学や最先端テクノロジーに関する論文などを長文読解や聞き取り問題に多く採用する。医学系の大学では遺伝子や薬学に関する問題をより多く出題する傾向にある。よって、どうせDSHクラスに参加するなら、第一志大学のお膝元の語学学校で学ぶのが効率的と言える。
最後に紹介する試験は TsetDaF。DSH試験は各大学ごとに実施していて、難易度も当然違う。例えばボン、ミュンヘン、ベルリンなどは難しいので有名だ。本来はどこかの大学でDSHに受かれば、その証明書はドイツ全国の大学で有効なはずなのに実際はそうとも限らない。他の学校で受かったにもかかわらず「必ず我が校のDSHを受けてください」などと受け直しを要求されることがある(同じ州内であればほとんどありえないが)が、これはDSHの難易度に差があるからに他ならない。よって、どこの大学でも認められる統一テストを作ろうということで設置されたのが
TestDaF で、英語圏のTOEFL に相当する。もちろんゲーテの試験のように、試験結果はあらゆる場面で公的な資格として認められる。
大学入学許可通知の例-2
(トリーア大学:裏面) |
|
しかし、例えばトリーア大学が実施したDSH直前準備クラスで先生が言うには「TestDaFの問題は易しすぎて、入学を認めたくはないのが実情。よってTestDaFの合格証を提示する場合、全問題(読み・聞き・文作・文法)で最高レベルであるレベル5を取っていないとトリーア大学では入学を認めない」と言っていた。DSHと違い何度でも受けられるという点でTestDaFのがありがたいが、全ての問題でレベル5はやはり大変。どちらのテストが受かりやすいかは微妙なところだ。
私立の語学学校では TestDaF 対策クラスより DSH 対策クラスの方が圧倒的に多い。しかし案外、市民大学 Volkshochschule には TestDaF コースが設置されていたりする。これは Volkschochschule が大学を目指す受験生より、一般市民を対象にした講座であることに依拠しているからかもしれない。
授業料は私立の語学学校より Volkshochschule の方がかなり安い。これは Volkshochschule
が公営であることと、一クラスの生徒数が多いのが理由だ。授業内容に関しては個々の教員の資質によるので私立学校と
Volkshochschule、どちらがいいと言うことはできないが、生徒数が少ない私立の方がアフターケアの面(授業後の質問や過去問の準備)では優れていると言えるのではないだろうか。
次は「職能別」。日本で買える留学案内書・学校カタログの類に、このカテゴリに含まれる語学コースが載っていることは少ない。しかし実のところ存在する語学クラスの数は決して少なくなく、出稼ぎ労働者の多いドイツでは、むしろこのコースを主体にしている学校も多いのだ。「経済ドイツ語コース」
とか 「商業ドイツ語コース」 とか呼ばれるコースは、主に駐在会社員や秘書などが受講する。
同様のクラスはもちろんゲーテにもあるが、こちらは主に 「職業ドイツ語試験」
「国際ビジネスドイツ語検定」 などの資格試験を目指すもののようだ。対して一般の語学学校で行われているコースは、どちらかというと試験向きではなく、受講者の職業に合わせて内容が組まれる場合が多い。受講料が多少割高なのはこのためで、少人数制にすることによって、生徒らそれぞれの分野の職業に合わせた会話練習を行えるように工夫されている。
同じ職能別でも 「教員研修」 という毛色の違うものもある。これは母国でドイツ語を教えている先生達を対象にしたもので、ドイツ語教員としてのスキル向上を目指すもの。本来は大学の
Deutsch als Fremdsprach 「外国人としてのドイツ語」 学科の 「ドイツ語教授法」
の講座を受けるのが望ましいのだが、ゼメスター制を採るドイツにあっては短期間研修が難しい。そこで1〜2ヵ月という限られた休暇の中でスキル向上を目指すのが、民間語学学校の
「教員研修コース」 だ。
「個人・グループレッスン」としては、グループレッスン、プライベートレッスンがまず挙げられる。当然にもプライベート(個人)レッスンの効果は高いが、受講料は安くない。料金は学校によっても異なるのだが、少し例を挙げておこう。2002年にウィーンの学校が斡旋していた個人レッスンは、一時間40ユーロだった。ドイツの学校にも個人レッスンは大抵用意されているが、料金は安いところで一時間(あるいは90分)30ユーロくらいから可能だ。しかし大抵は40〜50ユーロというのが相場のようだ。
本来語学学校が一人の先生をあてがい、教室を貸し与えて行うのだが、当然にも学校側が少しリベートを取り、支払った授業料の一部が先生の手に渡る。しばらく個人レッスンを受けていると、「学校を通さずに先生と個人的に契約しよう」
と考える人も多い。なぜなら、学校を通さないことによって、先生の取り分が増えると同時に、生徒の出費も多少減らすことが可能だからだ。それはいい方法ではあるが、考えねばならないのはビザの問題。学校を通していれば、何時間勉強したかという証明書を発行してもらえるが、先生と個人契約では証明のしようがない。ユーロ諸国の人なら問題ないのだが、我々のように滞在にビザを必要とする人間には問題も多い。もし一般の週20時間クラスを受講して、更に追加として個人レッスンを受ける場合はともかく、個人レッスンだけで短期間習得を目指すなら、このことは十分念頭に入れておかねばならない。
さて、個人レッスンの効果の高い内容を維持した上で、安く済ませようというプランがある。これがグループレッスンだ。大抵2〜3人+先生で構成される。短所はというと、グループを作るべき同レベルの仲間を見つけるのが難しい点だ。学校が仲間を見つけてくれるわけではないので、グループで申し込む必要がある。また生徒間のレベルが違うと、うまく機能しない。しかしもし、レベルの非常に似通った仲間がいる場合は、実は個人レッスンより効果の高い場合がある。とにかく仲間を見つけられるか否か。これがグループレッスンのすべてのカギだ。
ちなみに、この原稿を書いている2004年5月現在、ボクは7つ目の学校に通っている。すでに非常に長い時間、語学学校に通っていることになる。最大の原因は、やはり年齢の問題だろう。学生を退き、職について数年働いたあと再び学業に戻る場合、年齢問題の他にも
「学習ブランク」 という問題が発生する。若者と比べればもちろんのこと、ずっと学生と続けてきた同年代の人々と比べても、学習効率の悪さは明らかである。
ボクはまだ個人レッスンを受けたことがない。それは単純に受講料の高さがネックになっていたからだ。しかし今考えれば、この2年半の間に支払った授業料はかなりの額になる。これなら個人レッスンで短期間に集中して身につける手段も講じることも可能だったはずだろう。しかしそれに気付いても、もはや遅すぎる。個人レッスンは確かに高い。しかしもし語学学習が極めて苦手だったり、ある程度の年齢に達してしまっている場合は、案外個人レッスンの場合のが安上がりになる可能性がある。どちらが安かったか、もちろんそれは常に結果論でしかない。しかし最初に一考しておく価値はある。
また 音楽などの語学外レッスンのミックス というのもある。例えばボクがウィーンで通った Cultura Wien では、語学と音楽レッスンを同時に受けようというコースがあった。これについては別稿にも書いているので参照して欲しいのだが、残念ながらボク自身が受講したことがない以上に、芸術に関して素養のないボクでは、それをいいのやら悪いのやら判断するすべがないので、ここでは深く語ることができない。(次行ってみよー!
(^^;ゞ )
最後に紹介するのが 「大学のサマーコース」だ。ドイツの多くの大学では、夏季休暇中を利用した短期講座が開かれており、大抵は誰でも参加することができる。サマーコースに関する情報は各大学のホームページで確認できるほか、東京のDAADにもかなりの資料が揃っている。これらの資料はすべてドイツ語なので、内容を知るにはある程度のドイツ語能力が必要だ。もしドイツ語に自信がなければ、ダイヤモン社発行の
「成功する留学」 を見てみよう。講座内容が日本語で紹介されている。この本情報は常に新しいワケではないが、ドイツ語の資料を読む前の予備知識として見ておくのは決して無駄ではないだろう。
ただ大学のサマーコースは、全くの初心者には向いていない。まず大学というところは、民間語学学校ほど親切ではない上、申し込みも殺到するので、下手なドイツ語で申し込んでも受理されない可能性を否定できない。それに大半の語学講座は20人程度、あるいはそれ以上のクラス編成になり、疑問があっても十分に質問することができない。最も辛いのは、サマーコースにヨーロッパ人が多いことだ。東アジア系言語を母国語に持つ我々より、ヨーロッパ人の方が圧倒的に習熟速度が速い。これについては別稿 「再びあの学校で」 の記述を一読して欲しいのが、クラスの進行速度は彼らヨーロッパ人の習得速度に合わられてしまうので、日本人や韓国人には厳しい状況になることが予想される。
サマーコースのドイツ語講座の中には 「入門コース」 も確かに存在するのだが、日本人にはあまりお勧めできない。サマーコースの場合は、自分のレベルより多少低いクラスに入った方が効果が高いのではないかと思われる。よって、もしサマーコースを希望する場合は初歩者より、中級以上の人のほうが向いているといえるだろう。もちろん、どんな場合にも個人差があるので、一概に言うことはできないが・・・。
2004.05.11
|
Project DokuBoku!
Copyright (C)2003-04 kon.T & M.Fujii, All Rights Reserved. |