1、アラブ
宗教上、文化上の面から考えても、アラブ人と分かり合うためには結構時間が必要かも知れない。実はボクにはアラブ系の友達が多くて、ドイツ人より親しかったりするのだが、彼らとの付き合いは驚きの連続だ。これを執筆している今のボクは、アラブ交友歴約4年。長いとも言えないが短いとも言えないと思う。そんなボクも、今なお彼らには突然驚かされることがある。つまりその…、文化の違いというやつに。
アラブ人で困るのはやはり宗教。クラスでパーティーを開こうにも、あれは食べれない、酒は飲めない、今日はラマダン(断食)だ、お祈りの時間だ…と面倒が多く、計画は思うように進まない。それに一番困るのは、敬虔なイスラム信者になるほど、日本人の
「無宗教」 に異議を唱えたりすることだ。しかし勘違いしないでほしい。彼らの我々に対する疑問は非常に純粋で、「宗教的攻撃」
などと呼べるようなものではない。しかしだからこそ返答に窮してしまうのだ。例えば…
「日本人は仏教徒かあるいは神道信者ということになっているが、実際はほとんどの人が無宗教だ。寺の坊さんだって、クリスマスにはケーキを買うし、大晦日には仏教寺院に行って鐘を突き、元旦の朝には太陽を拝んで自然崇拝し、午後には神社に行って神道信者になり、結婚式にはキリスト教の教会を使う。受験の合格祈願にはあらゆるお守りを買い集め、必要とあればアラーにもヒンズーの神々にも願うし、八百万の神も信じるし、ゾロアスター教だって
OK さ。日本人は複数の宗教の信者であると同時に、無宗教とも言える。早い話が、宗教を理解できないのだ」。
などと説明してやると、彼らはきょとんとした顔で無邪気に質問する。「…え?
じゃぁ空は誰が作ったんだ?」。そんなものは最初から存在していて、誰かが作ったものではないと言っても、「どうしてそんなことがわかるんだ?」
と更に詰め寄られる。仕方なく 「最初からあったという証拠がないと同様、誰かが作ったという証拠もないじゃないか」
と言うと、彼らは当たり前のように答える。「コーランは真実を語る」 と。
もはやお手上げだ。困り果てて、「う〜ん、ボクのドイツ語レベルで宗教を語るのは難しい。せめてあと一ヵ月待ってくれ」
とボクは急場をしのぐが、彼らは忘れた頃にやってくる。「一ヵ月たった。説明してくれ…(ニッコリ)」。あちゃぁ…、と思いながら、もう少し時間稼ぎ。「いやまだ難しい。あともう3ヵ月…」。
果たしてその3ヵ月後、目をキラキラさせてやってくる。「説明できるか?」。あぁ、ボクは胃が痛い…。
他にもアラブ系の人々が好む 「水タバコ / Wasserpfeife」 も、時には不快にさせられる。別にそれぞれの文化や習慣を否定するつもりはないが、吸っているのが麻薬だったりすると、吐き出す煙を吸うまいと努力しなければならない。それが日本人にとっての麻薬か否かは別問題。彼らにとって日常的な行為なら、こちらが何を言ったって理解してもらえやしないんだから。
そして最も困るのは、「飢えたる者は、富める者から施しを受けてもよい」 ことになってるから、勝手に冷蔵庫のものを使われても文句は言えない。言っても理解しない。「貧乏な俺が、お前のものを使って何が悪い!」 と開き直られてしまうと、それ以上はどうしようもない。
あと更に付け加えておくと…、アラブ系の人々で最も注意しなければならないのは、男
であるボクではなく、アジア出身の女の子だ。女性の権利が低いアラブ社会 (日本も低いけどっ!)
から婦女子が留学するなんて異例のことだ。だからアラブからの留学生は99%男性。そして全てとは言わないが、大半のアラブ人は
「女好き」。とにかく、アジア女性に目がない。
その理由は彼らの結婚年齢が極めて早いのと、イスラム社会では今にちでも3人程度の妻を娶ることができることに起因していると思われる。ボクは
(取り敢えず) 男だから、その手の問題はあまり感じない。むしろボクにはアラブ系の友人がたくさんいて、彼らの親切で人情味あふれる性質を非常に快く思っている。しかしいざ自分が女の子だったらと思うと、さすがに警戒せざるを得ない。「手当たり次第」
という言葉がすんなり当てはまってしまうほど、彼らは女の子にアクセスしようと試みる。
日本人の女の子もまた、外国にいるという状況からかガードが甘く、彫りの深い顔立ちに惹かれがち
(たまにはボクにも惹かれてよ…)。自由恋愛なのだから悪く言うつもりはないが、アラブ人の子供を孕んでしまって、「とんずらされちゃった!」
という日本人留学生を、ボクは腐るほど知っている。しかもアラブ人が相手だと損害賠償請求もままならないので、アジアの女の子は泣き寝入りせざるを得ない。
アラブの男性にはイイ奴も多い。アラブ系の友達がやたら多いボクが言うのだから、それは間違いない。しかしいざ女性問題となると一変するのがアラブ人。非常に親切で気前はいいが、彼らに
「おごらせてはダメ!」。カフェに行ってもレストランに行っても、できる限り自分で支払うよう心がけよう。それを肝に銘じよう。
2、アラブ + アフリカ。
アラブ人で更に困るのは、多数の同胞を集めてしまう点だろう。そしてこれは西アフリカ諸国の人々についても同じことが言える。例えば一つの部屋に定員は一名のはずなのに、いつの間にやら4人も5人も住んでいる。自分の部屋だけの話なら問題はないが、彼らはもちろんトイレもシャワーも使えば、キッチンも使う。共有スペースはどんどん手狭になり、我々のストレスも次第にたまる。
ただしアフリカ黒人は、安手の学校に来ている生徒であっても母国に帰れば裕福な人々なので、経済的にケチではない。彼らが定員オーバーで寝泊りするのは経済的よりも、むしろ文化的理由だ。個人の
「プライベート領域」 をヨーロッパ人や日本人ほど必要としない彼らにとって、大勢で眠るのは当たり前。たとえ貧しくても、子供は多ければ多いほどいい。そんな考えも、今日の先進国の常識とは大きくズレている。まぁ、どちらが幸せなのかは分からないが。
ちなみに大学の学生寮では、定員以上の人間が長期間に渡り寝起きすると追い出されることがある。しかし語学学校の寮ではあまり厳しくない。だから問題が発生する。だからストレスがたまる。だから腹が立つ。だから喧嘩にもなる。
3、中国 (台湾含む)・韓国人
日本という国は、中国や韓国と歴史的に確執がある。それは周知の事実だ。中国とは歴史教科書問題、領土問題、南京大虐殺の検証問題など。韓国とは従軍慰安婦問題、日韓併合と強制労働・強制連行、関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件、三・一独立運動事件などなど…、日本が加害者となった多くの事件があり、これに加えて昨今では自衛隊の海外派兵など、問題は数え上げればキリがない。
しかし実のところ多くの中・台湾・韓国人留学生らは非常におとなしくて、授業中にこの手の話題が出ても、あっさり流してしまうものだ。それはやはり生活階級に関係しているのだろう。富裕階級は基本的に穏健で冷静、中・下流階級はおしなべて攻撃的だ。しかしドイツに留学している時点で、日本人を除く大抵のアジア人は富裕層と言える。だから基本的には、われわれ日本人に害を及ぼさないどころか、むしろ日本人の良き理解者であることが多い。
ところがこれも、ヨーロッパ出稼ぎ労働者やその子弟になると状況は一変する。また中・韓国からの若年留学生も攻撃的側面を持つ。場合によっては日本人が非難の的となって、ボクの経験上、学校内で日本人バッシングが二回、別々の学校で起こったことがある。これは非常に恐ろしい。特に彼らの怒りが集中するのは、日本人が日本史に疎い点だ。海外に出る以上は、明治以降の日本史について多少なりとも勉強しておいて損はない。
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