ドイツの語学学校へ

03、斡旋する住居形態と家賃 メニュー
 語学学校が紹介する住居はいったいどんなものだろうか?学校カタログをみると アパート、WG、下宿、ホームステイ、ホテルなどの記述があるが、本を見ているだけではいまいち分からない。そこでこれまでにボクが住んだ部屋がどんなものだったか紹介しよう。ボクが大学に入るまでに住んでいた所は、ホームステイx2、アパートx1、学生寮x4、一般住宅を改築したWGx1 である。詳細は下図を参照してほしい (図はあくまで略図・縮尺率等はかなりいい加減。他の図との縮尺率の寸法調整は一切無し)。

 まずは学生寮から紹介しよう。図はライプツィヒ大学学生寮の2人用WG。WGとはWohngemeinschaftの略で、一揃えの生活設備を備えた部屋を何人かでシェアする形態。ここには語学学校、Universität Leipzig Herder Institut (interDaF) に通ったときに4ヵ月間住んでいた。同校は大学付属機関なので、住居も一般の大学生用住宅が与えられた。保証金は200ユーロ(当時はマルク, 2001-02現在)、月家賃は155ユーロ(電気・水道代込み)。大学の Studentenwerk で登録し、家賃は口座引き落としか持参。ドイツ国内に銀行口座を用意しないと賃貸できない。

2人用WGの例 (ライプツィヒ大学の学生寮)
Lössnig (Johannes-R-Becher str. Leipzig)
 比較的新しい学生寮で、路面電車の駅から歩いて4分。どこの大学の学生寮も比較的交通の便の良いところに建設されているが、ここも例外ではなかった。設備は見ての通りだがバスルームにはこのほかに洗面台があった(図では省略した)。コンロは電気式、オーブンや電子レンジは未設置だが、冷蔵庫は2人が暮らすに十分なものが用意されていた(小さな冷凍室完備)。キッチンには食事用の小さなテーブルとイスが3脚。キッチン及び洗面台には水と温水の蛇口がある。炊事用具はすべて自前購入する必要あり。

 個室内は学習用デスク、ベッド、本棚、クローゼット、それにサイドテーブル(図では略)のようなものがあったかもしれない。それにドイツの部屋には一般的な暖房器具であるハイツングが(ほぼ)必ずある。ハイツングはどこの部屋でも大抵10月ごろから4月ごろまで使用可能。それ以外の月はハンドルをひねっても稼動しない。ベッドにはマットレスがついていたが掛け布団、シーツ、マクラは無く、個人で購入する必要がある。よって初日は少し寒い夜を過ごさねばならない。ちなみに掛け布団に関しては IKEA か Karlstadt で購入するのがお得。19ユーロ程度から。部屋には大学のLANが入っていて、月10ユーロ支払えばインターネットは使いたい放題だった。地下には共同洗濯室があり、洗濯機と乾燥機が使えたがこれは有料。また玄関口には一人ひとつづつ郵便受けを与えられていた。

 ここは2人用で、ボクは同時期に学校に入ったシリア人(キリスト教徒)と一緒に暮らしていた。それぞれの部屋にはカギつきのドアがある。大学の学生寮といっても、ここは前出の interDaF が抑えている区画で、4ヵ月ごとに生徒が入れ替わっている。同じような interDaF お抱えの寮が街中にあるが、それは大学所有のものばかりでなく民間寮もあった。しかし部屋の内容に関してはそれほど変わらない。料金の方は部屋の大きさによって変わるがも160ユーロから250ユーロ程度。

 誰と住むかについては学校側が決めるていたのだが、やはりイスラム系の人と暮らすのは大変なようだ。飢えたる者は富める者から慈悲を受けても良いことになっているようで、イスラム教徒と住んだ友人・Oクンは冷蔵庫の中身を勝手に食われたり、彼の私有物がいつの間にか紛失するという事態に頭を悩ませていた。



 次はウィーンの学生寮。ボクが初めて入った学生寮で、語学学校 Cultura Wien が紹介してくれた。同校ではサマーコースに参加する大半の生徒をここに放り込む。収容可能数はおそらく約1200人。ウィーン大学の寮であるが経営は半官半民。AからEまでの建物があり、おそらくすべて7階建て。ボクはB棟とC棟の計二つの部屋に計5ヵ月住んだが、間取りはまったく同じ。このほかここには家族用住居もある。E棟は新しくて最新設備を備えているが、ABC棟は築20年以上の結構古い建物だ(2001,2002現在)。

 大抵の学生寮は夏の長期休暇に学生が帰省するため部屋はがら空き。この状況を利用して、夏季のみ一般にも部屋を開放している。このウィーンの寮 Studentenwohnheim Haus Döbling は本来一般用には開放していないが、何らかの教育機関に在籍していれば学校の在籍許可書の提示によって夏季のみゲストとして入寮を希望することができる。ただし9月末までで、それ以降は正規入寮者が帰省から戻るため延長居住は不可。もちろんボクの場合はゲスト入寮だったので保証金は不要だったがその分家賃は多少高目に設定され、月205ユーロだった(電気・水道代込み・正規入寮者は確か190〜200ユーロ)。ボクの通った語学学校 Cultura Wien だけでなく、iki などの語学生もいたので、夏季は結構さまざまな学校がサマーコース用に利用しているようだ。
ウィーンの学生寮
(Studentenwohnheim Haus Döbling/GebAB・C)

 1つの階に約20ほどの個室があり、その階の人間全員がキッチンとトイレを共有する。キッチン前には大きなテーブルと長椅子があり、大勢で食事することも可。しかし特に夏はゲスト生ばかりなので、このテーブルを使っての大勢の食事を見る階は少ない。キッチンには取り敢えず炊事用具が整っているが、これは過去に出て行った入寮者が置いていった物がほとんど。もちろん現役入寮者の私物もあるので、まずは人に聞いてから借りるべきだ。どの階にも大抵、持ち主不明の鍋などがたくさんあるので、炊事用具は買わなくても済む(棟や階によって差あり)。冷蔵庫はあるが20人共用なのでスペースは限られている。電気コンロは4口、冷蔵庫は共用が2つくらい、オーブンも一つある。

 個室は当然カギ付き。ベッドと学習用デスク、デスクの上方には作り付けの本棚がある。ベッドにはマットレスと掛け布団・マクラ(それぞれシーツ付)まで用意されていて、さらに月二回シーツの交換サービスがある。確か月一回だったような気がするが、室内に掃除婦が入って細かなゴミ等を処理してくれる(すべて家賃に含まれる)。室内に他人が侵入するのを嫌う場合、部屋の扉に 「Kein Putz bitte! (掃除不要!)」 とでも書いておけばよい。そのほか部屋には大きなクローゼットと暖房器具・ハイツング、そしてシャワー設備。トイレは共用だがシャワーと洗面台だけは自室にあるのでうれしい。

 廊下には共用のインターフォンがあり、寮内の各棟・各階に直通(無料)で電話をかけることができる。またこのインターフォンは外部に電話することはできないが、外部から電話を受けることはできる。電話をとって、該当人物の部屋まで本人を呼びにいくシステム。電話を掛ける場合は各棟の1階にある公衆電話を使う。

 寮内の主な共用設備としてはパブ(C棟1階)、PCルーム(A棟1階・インターネット利用可)、屋外グリル、音楽練習室(D棟地下に計3室、1室には古いピアノあり)、自習室(A棟1階)、自販機(各棟)、洗濯室(D棟地下)、写真現像用暗室(C棟1階)など。PCルームには12台のパソコンとプリンタがある。最初に月極めの料金を支払ってユーザIDとパスワード、それにPCルームのカギをもらう。2002年9月末にボクが退寮する際、光ケーブルの敷設工事が行われていた。10月か11月ごろから高速回線が使用できるという話だったが未確認。当時はまだ WindowsNT 4.0 Workstation と一台のみ Linux が入っていた。2002年の新設では Windows2K Professional SP4 が入ると聞いた。PCルームは寮生によって運営されているが、ボクが居たときの担当者たちは素人に毛の生えたような方々で、エラー続出に大変苦労させられた。まぁ、おかげで各ユーザデータが丸見えの上、自分の私物PCを勝手につなげて外部への不正アクセスが思いのままだったので結構楽しむことはできたが・・・。

 音楽の都だけあって、音楽練習室はかなりの頻度で利用されている。壁面の音響対策が万全ではないので多少難はあるが、市内に自前で練習室を借りることを考えれば非常にありがたい。最初、保証金を払ってカギをもらい、利用したいときは利用者名簿に記入して順番待ちをするようだ(ボクは音楽学生ではないので予約したことが無い)。洗濯室は有料で、学生寮としては非常に高く、確か洗濯機が1回4ユーロほどしたように思う(しかも洗剤持参)。2001年までは専用コインを購入していたが、2002年からは銀行のECカードで決済する仕組みになった。よって銀行口座を持っていない人は、市内のコインランドリーに行くしかない。
一人用アパートの例(トリーア大学の学生寮)
SWH Petrisberg / Haus III App.112


  トリーア大学では学生寮の中でも、つい先ほど完成したばかりという真新しいの部屋に入ることとなった。この部屋はWGではなく完全な一人部屋。すなわちシャワー、トイレ、キッチンが自分の部屋の中に自分一人のために用意されている。しかしベッド(なぜかすばらしい事に掛け布団と枕は備え付けだった)、本棚、学習用デスク、クローゼット以外に家具は無いので、炊事用具一切は自費購入せねばならない。ボクが参加したのはトリーア大学がDSH試験直前に行った試験対策1ヵ月間コース。ハイデルベルク大学の学生寮に部屋を一つ既に持っていながら、同時にこの部屋も借りることとなった。たった1ヵ月のために生活用具を買うわけにはいかない。よって、高校の山岳部時代に愛用していたミニ調理セットで暮らすことにした。

 新しい学生寮には大抵、各部屋に大学からのLANが通っている。したがって大学に小額の料金を支払えば、インタネーットは使い放題となる。この寮にもそのような設備があったが、たった1ヵ月の滞在ではLAN回線利用を許可されなかった。また室内には寮内インターフォンのほか、電話・FAXジャック、ケーブルテレビコネクタもあったので、一通りの設備は整っていたと言える。

 この寮にあった共同施設は地下の洗濯ルームと談笑室くらい。確か洗濯機は1回1.5ユーロ、乾燥機は1回1ユーロだった(洗剤は持参)。支払いはカード式だったが、どうも銀行のECカードは使えないらしかった。専用のカードを何処かで手にいれるのかもしれないが結局最後まで分からず、街のコインランドリーに行く羽目になった。ちなみに市内の一般的なコインランドリーは洗濯3.5から4.5ユーロ(但し洗剤付)。乾燥は50セントから2ユーロと高い。談笑室にはサッカーゲームとテレビ、ピアノなどが用意されていた。

 家賃は確か月245、保証金は350ユーロだったと思う。たった1ヶ月間過ごすには高すぎた (というより、どうやら学校側はボクが半年以上そこに居続けるつもりと、勘違いしてあの部屋を用意したようだ)。案の定、保証金の返還は退寮後二ヵ月を過ぎてから。まったく勘弁してほしい。

2人用WGの例(ハイデルベルクの学生寮)
im Neuenheimer Feld 695 UG2-1&2
 ハイデルベルク大学の学生寮にも入ることができたが、これは語学学校が斡旋してくれたものではなく、個人的に申し込んだもの。同大の大学入学許可(Zulassungsbescheid)を受け取ると、大学の学生寮への入寮を申し込むことができる。よってここで紹介すべきではないかもしれないが、学生寮、そしてWGの例の一つとして紹介しておく。

 この寮はおそらく築20年以上。新しいとは言いがたい。TV、電話・FAX回線はあるが、インターネット回線は室内に用意されていない。寮前から市の中心を通って大学までを直通のバスが18分で結んでいる。保証金350、家賃は月175ユーロ。二人用としてはキッチンがかなり小さいのが難点だが、玄関からキッチンまでの間に扉が一枚あるのがありがたい。キッチンのテーブルの上に作りつけの小棚と食器棚がある。

 寮敷地内にはスーパーマーケットがあるが、商品自体はかなり割高であまり利用されていない。 洗濯ルームは各棟の地下。洗濯機は1回1.7、乾燥機は1ユーロで、専用コインを寮敷地内のスーパーマーケットで購入する。 これまでに紹介した4つの寮のうち、何故かウィーン以外は全て1階(ハイデルベルクは半地下)。これでは外から部屋の中が丸見えになるので、部屋の窓はいつもカーテンで締め切って生活していた。寮に限らず、2階以上の部屋に住むほうが精神的にも防犯上からも好ましいのではないかと思う。
アウグスブルクで借りたアパート
(Rauwolff str.7 / Privat)

 アウグスブルクで通った語学学校 ADK-Augsburger Deutschkurs ではホームステイを推奨・紹介しているが、ホームステイに懲り懲りしているボクは一般アパートかWGの紹介を依頼した。その結果住むことになったのは、ボクと入れ替わりに出ていくことになった日本人の部屋。一般的なアパートで家賃も月225(光熱費別途)、保証金459ユーロと少々高かった。この学校に通うほとんどの生徒は最初ホームステイに入るが、その料金(月550〜650ユーロ)の高いことに苦しんで大抵は一般住宅へと移っていく。だから生徒が出ていけば、そこに新たな生徒が入る、という仕組みになっている。

 しかしこれらの部屋は学校所有ではなく別にドイツ人の大家さんがいて、この人たちと法的な賃貸契約を交わすこととなる(2003年4月現在、同校は学校所有の寮建設を計画中らしい)。実際には語学学校側が間に入ってサポートしてくれるので、1から10まで自分でやる必要は無いのだが、ドイツ語に不慣れな者にとってこれは非常に骨の折れる作業だ。ボクの場合はADKに入る前に既に3つの語学学校を経験したということで、学校側は交渉に全く手出ししてくれなかった。どうやら、当時のボクがドイツ語をほとんど話せないということを理解していなかったらしい。A4用紙約20ページの契約書類を渡されたときはさすがに目が回った。結局ちゃんと読んだのは最初の3ページくらいで、あとはチンプンカンプン。よってその後7ヵ月間、常に後ろめたさを感じながら過ごす結果となった。しかしこのような経験をしたのは悪くなかったと思う。今後おなじ間違いを犯さないためにも。

 で、そこで犯した「間違い」とは何かというと、実はまず最初から間違っていた。ボクはウィーンから移ったのだが、前の居住者である日本人女性とはメールと電話、それに彼女が一度ウィーンへ旅行に来ると言うので、そのときに会って話を聞いた。

 というのもこの部屋、実は家具付きで、一般には Möbliert と言う。この家具類について大家さんは一切感知しておらず、前の居住者から次の居住者に直接売り渡す形式となっている。 ボクが買えば、さらに次に住む人がその家具を買う。このようにして室内のものが受け継がれてゆくのだ。
学校に貼った居住者募集チラシ
(画像をクリックすると拡大)

 ウィーンの学生寮では調理器具を一切買わずに住んだが、もし新しい部屋を借りるならば全てを自分で買わねばならない。しかもすぐまた2ヵ月後にはフライブルクの学校に移動する予定だったので、買っても売って行けるシステムにボクはとても喜んだ。しかしボクが出ていくことを決めた6ヵ月後、その安易な考えは仇(あだ)となった。次に住む人が見つからないのだ。

 ボクはウィーンからADKに部屋探しを依頼したとき 「なんとか安い部屋を」 とお願いした。一般住宅の家賃がいくらなのか相場が分からないボクは、ADKが紹介してくれた部屋が比較的安いのだと信じてしまった。しかし実は決して安くは無く、事実かなりいい部屋だった。部屋は広いし、風呂はシャワーだけでなく湯船まであった。日本人の感覚で225ユーロというのはそれほど高くはない。しかし外国人、殊にドイツの安語学学校にひしめく中国人やアラブ人にとって、それはなかなか手の出るものではないのだ。従って、ボクは次にその部屋に住み家具を買ってくれる人を、学校内で見つけることができない。これがもし夏季だったなら日本人がたくさん来るので困りもしなかったのだが、2月では日本人などほとんど来ない。ボクは家具を売るのを諦め、泣く泣く出ていこうかと思った。

 しかしその家具類について大家さんは感知していないことになっている。つまりそれは大家さんにとってゴミ同然で、もし置いていくなら1つ20ユーロの処分料を支払わねばならないということを後で知った。部屋に帰って数えてみる。・・・・計約45個、つまり900ユーロ。そんな金は出せない。ボクは再び次の居住人を探す毎日を送ることとなった。

 しかし引越しの日になってもまだ見つからない。ボクは次に行くことになっていた語学学校に謝って、アウグスブルクにもうひと月滞在するはめになった。この部屋の内容については、ボクの作ったチラシを見てほしい。次の居住者を探すために作り、学校に貼ったものだ (クリックすれば拡大。横に書いてある塔の絵は、部屋のすぐ側にあった城門・Jakobertor。我ながらそっくりに描けた)。テレビに関しては、テレビ受像機(つまり機械としてのテレビだが)さえあれば、ケーブルテレビは無料で見ることができた。
家族住宅を改築した6人用WG
(Heidelberger Pädagogium所有\Konstanzerstr.4)

 ハイデルベルクの語学学校 Heidelberger Pädagogium が所有し、生徒のための寮としているWGは、家族用アパートを改築したもの。建物の中には当然多くの家族が生活しており、ここに同校は2つの部屋を確保していた。ボクは3階(ドイツで言う2F)の部屋に住んでいたが、その内容は左図の通り6人が居住できるようになっている(それぞれの部屋にカギ付)。ドイツの一般的なWGは2人〜4人用くらい。ここのような6人用WGは珍しいといえるだろう。「多くの生徒と交流を深めて互いの語学力を磨こう」という趣旨であれば納得できるのだが、学校側としてはできるだけ多くの生徒を詰め込みたいというのが本音だろう。

 部屋は6人分といっても部屋の大きさにはかなり差があり、当然家賃は部屋のサイズによって変わる。ドイツには学生用だけでなく職を持った社会人も多くWGという形態を利用している。部屋を借りたが大きすぎるためとか、一緒に住んでいた家族が転居したために同居者を一人募集するなど理由はさまざま。本稿では最初に学生寮のWGを紹介したが、本来ドイツに最も多いWGはこのような一般住宅を間貸ししている形態である。よってWGといえば部屋のサイズは大抵違い、家賃もまた違う。だからこの語学学校が紹介してくれたWGも、収容人数こそ多いものの形態としてはドイツでの一般的な形といえるだろう。

 ちなみにボクは一番大きな個室Fに住み、家賃は月220ユーロだった。部屋割りは大体図のようなものだったが、縮尺はいい加減。あまり参考にならないかもしれないが、個室Eが150、Dが200、Cが215ユーロ。学校側にはどうやらこの住居によって儲けようなどという腹積もりは全くないらしい。というのも部屋の広さからすればこの価格設定はかなり低いからだ。しかも学校所有ということで保証金も免除。語学生の一時的な住居としては申し分ないものだった。

 大学学生寮のWGはともかく、一般WGの良いところは既に生活用品が一式揃っている点であろう。炊事用具はもちろん、洗濯機まであったりするのがメリットだ。この語学学校所有のWGにも洗濯機や掃除機があったし、何より過去の生徒たちが国に帰る際に置いて行った鍋や食器類、アイロンなどの生活用品がふんだんに残っていた。
廊下貼られた住人のルール。

掃除当番表のほか、共同生活の
中での心得などが書かれている

 WGが共同生活の場である以上、皆が何らかの当番を請け負う。ボクのいたWGでは共同利用設備の掃除のみが当番制だった。廊下には写真のように掲示板があり、掃除当番表や「掃除をサボったら罰金、3回サボったら出て行きなさい!」などの文句の並ぶ説明書が、いかにも共同生活らしさを印象付ける。

 最後にホームステイについてだが、ボクは初めてドイツに来た頃に2軒のドイツ人家庭でお世話になった。これらはミュンヘンの語学学校 EF-Internationale Sprachschulen 紹介してくれたもの。最初は老夫婦の家庭に入り、そこにはもう一人同校の生徒がいた。ただここは2人部屋(一部屋に2人が住む)だったので精神的な圧迫には結構苦しんだ。この学校はホームステイのみを斡旋し、しかも支払う授業料にはステイ費用も含まれていた。

 このお宅はあまり裕福ではなく、非常にけちけちしていた。例えば持参したノートパソコンを開いただけでも 「ここで使ってはいけない」 と散々しかられた。はじめのうちは何故いけないのかさっぱり分からなかったが、ドイツ語堪能な同居人(イタリア人)によると 「電気代がかかるから使うべきではない、と彼女は言っている」 と、不満顔で説明してくれた。

 なぜこのようなことが起こるかというと、原因は語学学校側の苦しい内情にある。生徒用の部屋を寮として市内にいくつも確保するのは、物価の高騰しているミュンヘンの語学学校にとって大きな負担。だから学校側としては、いつでも確保できるホームステイを斡旋するのが最上の策といえる。そのためどこの学校もステイ先となる家族を募集するのだが、同じことを考える学校は少なくない。チラシを出しても競争は激しく、そう簡単にステイ先を確保することはできない。

 となるとステイ時に家族に支払う謝礼の額を、他校より多目にして募集するほかは無いのだ。このような熾烈な争いによってステイ料金は高騰。この額が大きくなればなるほど、ステイ先ファミリーにとって外国人を預かることが一つの大きな収入源と化す。ボクのいたドイツ人老夫婦にとっても、この収入は非常に重要なものになっていた。こうなると、ホームステイの本来の意義は次第に薄れてくる。本来なら国際交流をしてみたいと考える家族が、語学を学ぶ生徒を受け入れて互いの文化について語り合い理解を深め合う、というのがホームステイの正しいあり方ではないだろうか。これが家族にとって単なる収入源となってしまうと、語学生との会話は減り、食事は粗末になり、トラブルが頻発する結果となる。

 当時、同校に通っていた友人、 さうす (ホームページ 「ドイツと旅が大好き」) にも話を聞いたが、彼のいたステイ先は常に何人もの生徒を受け入れていたらしい。その家庭でもホームステイ受け入れは完全に商売と化しているらしく、彼自身ほとんどその家族と話をする機会が得られなかったと聞く。これは多くの学校が乱立する大都市によく見られる傾向で、申し込む側としては十分考慮したい。これについては別稿いま日本に居てドイツへの語学留学を考えてはいるが、いったい何処の学校に入ればいいのか分からない。そんなときはまず、多くの語学学校がある都市を選ぼう」と説明した内容に相反する。つまりこれは「学校を選びかねているなら、学校を選択する自由度の高い小都市より大都市」、しかしもし「ホームステイを希望するなら大都市より小都市」という意味である。

 お世話になった2軒目のお宅はお婆さんの一人暮らし。夫は既に他界、息子は就職して他都市に移住。それで彼女は話し相手がほしいとステイファミリーをしていた。このお宅はステイ先として比較的良好だったと言えよう。ボクがこのお宅に入ったのは、前述のホストマザーがある日突然他界してしまったからだ。ボクはその日のうちにホストファミリーを交換。ドイツ語など全く分からなかったボクは、状況をうまく飲み込めないまま事実のみを受け入れざるを得なかった。

 さてホームステイの長所だが、これは当然にも 「生のドイツ語を毎日の生活の中で味わえる」 という点だ。また、その家族とは知人関係になるので、ドイツを去った後もドイツと何らかのつながりを持ち続けられるだろう。逆に一人暮らしをすると、なかなかドイツ人と知り合う機会がない。学校は先生を除けば外国人(ドイツ人ではないという意味)ばっかりで、ドイツに居るにもかかわらずドイツ人の知人はまるでできない。そんな状況に陥りやすい。それと当たり前のことだが、一人暮しと違い家財道具を揃える必要がないのも大きな利点だ。生活する上で必要となる雑貨は結構多く出費は馬鹿にならない。鍋やフライパン、食器などといった出費に悩まなくていいのもホームステイの魅力だろう。

 短所はというと・・・、これは結構多い。この件に関しては別稿に記載があるので参考にしてほしい。とにかくドイツ語をドイツで勉強し始める初期にホームステイすることは、(ボクの個人的考えでは) お勧めできない。

 最後にホームステイの料金だが、これにはかなりバラつきがある。小都市でも最低400ユーロ以上が相場ではないだろうか。正直なところ平均的な相場というのは出し難いのだが、これまでにボクが集めた情報から推算すると、小都市で450〜650ユーロ程度。大都市だと550ユーロから800ユーロといったところではないだろうか。この額に食事がつくか否か、1人部屋か否かはホストファミリーと学校側の交渉契約によって違いがあるので一概には言い切れない。

 ボクの友人・ M.E さんは高校生の頃、ドイツのギムナジウムに1年間の交換留学をした。彼女はこの時の2つのホストファミリーに入ったが、どちらの家族にも費用は一切支払わなかったと聞く。これは日本人家庭が、日本で外国人を受け入れる形態によく似ている。明らかに 「商売」 と無縁なのだ。つまりドイツの全てのホストファミリーが、ステイ費用を重要な収入源と考えているわけではないということだ。しかし語学学校が斡旋するステイ先に、そのような家族を求めることはほぼ不可能。もしそのような優良なステイ先を探したいなら、インターネットなどで個人的に見つけ、その家族と直に交渉しなければならないだろう。これは簡単ではないが、しかし不可能でもない。事実ヨーロッパ人、そして短期間移住するドイツ人たちも、そのような家庭をインターネットで探している例があるので、余力のある人にはお勧めしたい。

書き忘れたので補足しておきます
1 間取り図の中で洗面台を書き忘れているものがある
Augsburg, Heidelberg(学生寮), Leipzig
2 キッチンのコンロは基本的に電気コンロ。ガスではない
ので金網を持って行っても、焼き魚や焼餅は難しい
3 暖房器具・ハイツングはどんな部屋でも、ほぼ100%
完備している。
4 WGでも大学の学生寮には、鍋や食器類といった生活
雑貨はまず置いていない。自費購入の必要あり

2004.01.20
メニュー

Project DokuBoku!
Copyright (C)2003-04 kon.T & M.Fujii, All Rights Reserved.