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ドイツの大学へ

入学願書の入手
 入学願書の入手法は3つある。

1、志願する大学窓口で直接もらう方法
届いた願書。郵送で申し込むと、願書一式を間違いなく (書類漏れなく) 受け取れる。もちろん短所もあるが・・・

 大学で直接貰えば間違いはない。間違いやすい部分についてあらかじめ説明してもらえるかもしれないし、疑問があればその場で聞くこともできるだろう。また、DSH過去問を窓口でのみ配布している場合もあるので、行ってみる価値はあるはずだ。窓口に行く場合、まずは大学の Akademisches Auslandamt (外国人学生課) を探そう。この名称は多くの大学で共通しているが、場合によっては ドイツ人と外国人の学生課が同じで 「外人窓学生課」 というもの自体が存在しないこともある。また呼称のみ違って 例えば Amt が Kanzlei になっていることもある。まぁ分からなければその辺の学生を捕まえて、「入学願書はどこで手に入れられるか」と尋ねれば簡単だ。

 窓口についたら、次のゼメスターから大学で勉強したい旨を告げ、入学願書 「Anmeldungsformuler (Bewerbungsfolmuler)」 が欲しいと言おう。ついでに過去問を貰うことができるかも聞いてみよう。インターネット上のアドレスを教えてもらえるか、運が良ければその場で貰える。もしコピー証明(別稿を安く上げたいと考えるなら、その場で 「教会での証明も有効か」 を確認しておいた方がいいだろう。

 短所はというと、大学まで行かねばならないということ。いくつもの大学の願書が欲しい場合、全ての大学に足を運ぶのは時間的にも、金銭的のも負担が大きい。しかし自分の住む街の大学の願書くらいは、やはり直接行った方がいいだろう。もしかする混沌としていたことが、その場で明らかになるかもしれない。


2、インターネットから取り出す方法
 今や全ての大学がホームページを持っており、入学案内情報も得ることができる。願書自体もネット上から取り出すことが出きるので、これをプリントアウトすれば正規の出願用紙として認められる。なによりこの方法の利点は、欲しい時にすぐ手に入る点である。この方法が最も手っ取り早いのだが、しかし実は結構落とし穴もあるので注意したい。というのも、ダウンロードすべきデータがホームページ上に分散している場合も少なくなく、重要な書類を取り忘れることが多々ある。またネット上には過去の募集要項も残っていたりするので、過去の情報を最新版と間違って信じ込んでしまったという例もある。

 時間がないときや、あるいはドイツ語にかなりの自信があって絶対取り間違えないと胸を張れる人はともかく、できることなら、印刷されたものをまとめて取得できる 「郵送依頼」(後述) をお勧めする。また自室にパソコンやプリンタがなかったりする場合はインターネットカフェを利用すればよいのだが、プリントアウト料金は決して安くない。インターネットやプリンタ設備のない人にとっては、郵送依頼より割高になる可能性がある。

3、手紙で依頼して送ってもらう方法
 最も一般的なのがこの方法。大学宛に手紙を書いて案内や願書をまとめて送ってもらうのだ。これなら直接大学に行く必要はないし、情報の貰い忘れもない。しかしこれも長所ばかりではなく短所がある。何しろ手紙を書かねばならない。最近の留学生は日本からパソコンを持参しているので問題は少ないが、とにかく文章を書き、印刷し、封筒に入れ、宛名を書き、発送しなければならない上、戻ってくるまでに結構時間がかかる。

 さて、願書請求のためには何と書けばいいのだろうか。これはちょっとした問題である。そこでボクが使った文書をそのまま掲載するので参考にして欲しい。文章は申し込み当時のままなので文章表現には多少問題があるかも。また作成に当たっては当時、yumiko さんのホームページ Europa und Deutschland を参考にした。なお音大用サンプルはコチラMS-Word データ形式はコチラ



Heidelberg 29. Dez. 2003
An das
Akademisches Auslandsamt
Technische Universität Darmstadt
Karolinenplatz 5
64289 Darmstadt
Hr. Kon Terao
Studentenwohnheim
Im Neuenheimer Feld 695 UG2-2
69120 Heidelberg



Bitte um Zusendung einer Informationsbroschüre und einer Studienbewerbung

Sehr geehrte Damen und Herren,

Ich möchte Soziologie, Geschichte oder Psychologie an Ihrer Universität studieren, und ich beabsichtige, im Sommersemester 2004 zu beginnen. Aber mein Deutech ist noch nicht Perfekt, darum lerne ich Deutsch an einer Sprachschule in Heidelberg. Ich will die DSH-Prüfung an der Universität Heidelberg probieren. Wenn ich diese Prüfung bestehe, gültigt diese Bescheinigung auch an Ihere Universität? Oder ich muss auch noch die DSH-Prüfung an Ihrer Universität ablegen? Könnten Sie mir auf diese Frage antworten? Und könnten Sie mir bitte die Broschuere über Ihre Universität und die Studienbewerbung zusenden?

Für Ihre Bemüehungen bedanke ich mich im voraus.

Mit freundlichen Grüßen.





(Kon Terao)








音大用サンプルはコチラ

Uni Giessen / 12.01.2004発送 - 1月14日着

 この手紙の内容は、ボクが 「社会学、歴史学、あるいは心理学」 を学びたい旨が書かれている。本来は願書請求時に専攻したい学科まで書く必要はないのだが、これを書いておくと 「学科案内」 を添付してもらえることがある。学科案内とは学科毎に作られたパンフレットや小冊子のことで、内容は大学毎に様々だが、おおよそ 「何ゼメスター勉強しなければならないか」、「どんなことを勉強するのか」、「その学問を学ぶ意義について」、「年間プログラム」、「各ゼミナール紹介」などだ。これは貰っておいて損はない。

 他にも、「実はハイデルベルクの DSH を受けるつもりだが、これに合格した場合、その合格証明書は貴校でも有効だろうか? あるいは如何なる場合も貴校のDSHを受けるべきであろうか?」 という質問が書かれている。ちなみに、これを送った更に半年前の願書依頼でも、ほぼ同じような内容を書いた。違うのは文中後半の、「Könnten Sie mir auf diese Frage antworten?」 を太文字にしたところくらいか。ではなぜ太字にしたかというと、前回は同じ事を書いたにも関わらず、ほとんどの大学から回答がなかったからだ。この時期には大量の願書が届くので、恐らくは内容も読まずに発送処理してしまうのだろう。しかし太字にした結果、20校中17校から回答があった。ちなみに回答は全て 「認められる」 「有効」 であった。
TU Dresden / 15.01.2004 発送(出願締切り当日)


 さて手紙で依頼する場合、返信用切手を同封するか否かは迷うところだ。本来の礼儀を考えれば同封するのが当たり前だが、実際は同封しなくても送られてくる。それどころか、上記の依頼文を FAX で送っても願書を送付してくれる大学が多い。しかもこの手紙を郵送した上で FAX も送りつけると、2部届いたりするからおもしろい。過去の経験では、郵送とFAXの両方で依頼した場合、半数以上の大学から2部届いた。

Uni Marburg / 19.01.2004 発送
Uni Regensburg / 22.01.2004 発送
明かに出願締切りの後に発送している。出願は不可能

 それでもボクは手紙とFAXの両方で依頼したり、または切手まで同封する場合がある。何故かというと、発送事務が異常に遅れる場合があるからだ。そのために先手を打ってFAXも送ってみたり、必ず送ってくれるよう願いを込めて返信用切手を同封したりするのだ。例えばマンハイム大学に願書依頼したときなどは酷かった。2004年SS(夏学期)用の願書を申し込んだのに、出願締切日になってもまだ来ない。結局出願締切りの50日ほど後になって、2004年WS(冬学期)用の願書が届いた。この時は出願締切り (1月15日) の29日前に依頼書を送ったのだが、別にそれが問題ではないはずだ。なにしろマンハイムというのは、願書依頼当時ボクが住んでいたハイデルベルクから、電車で30分の距離。手紙を出せば翌日には確実に着く距離で、願書締切りまでに届いて当たり前のはずだった。ちなみに同時に依頼したケルン大学からは依頼書発送5日後に届いた。

 マンハイム大学がいつもそうかというとそうではなく、その前の2003年WSの出願に際して願書を依頼したときは何の問題もなく届いた。この事実の裏側には恐らくだが・・・・、出願者数を調整したいという大学側の意向があったものと思われる。ボクが願書請求した時点で、出願者が例年より多かったなどの理由ではないだろうか。何故そう思うのかというと、実は他にも理由がある。2003年にボクが願書を請求した大学は夏・冬ゼメスター併せて30校で、そのうち正常に届いたのは21校。他の9大学からも届きはしたが非常に遅かった。あくまで 「遅く届いた」 だけであって、無視されたところは一つもない。しかしここに面白い傾向がある。

 9大学のうち3大学の願書は、出願締切りの一日前に、別の2大学は締切日当日に届いた。さらに他の4大学からは出願締切り以降に届いた。この9大学に関しては、どう足掻いたって出願できない。何しろ郵送には丸一日以上かかるのだから。ではこの遅延は仕方のないものだったのだろうか。いや違う。何しろ締切り後に届いた大学の封筒には、締切り後に発送された事を示す消印が明瞭に押されていたのだから。つまり大学側は意図的に、出願不可能な時期を狙って願書を送ってきたのだ。郵送依頼するならば、できる限り早期に済ませることをお勧めする。
Uni Stuttgart / 23.01.2004 発送 (もはや論外)


総括すると
 一番良いのは願書を直接大学窓口で受け取ることだ。自分の住んでいる街の大学であれば、自ら出向くことをお勧めする。次のお勧めが郵送かFAXだ (ドイツでは郵便局でFAXの送受信ができる)。受け取り書類に漏れはなく、全て揃った完全な形で受け取ることができる。ただし、出願締切3週間前になっても届かない時は、迷わずインターネットを利用しよう。部屋にパソコンがなくても、インターネット喫茶を利用すればOK。プリントアウトも取り合えず可能だ。

(追記)
 願書の発送状況に関して写真を並べたが、これらの大学の外国人学生課がずさんだと言っているわけではない。願書を請求する時期によっては大学の対応に差があることを示したもので、逆に言えば、どの大学でも同じような対応を行う可能性がある。文中に説明したマンハイムも毎年同じではなく、前年は非常に正確な処理をしていたことを再度明記しておく。

(訂正)
 知らなかったのだが、最近はFAX送受信を受け付けていない郵便局が多いそうだ。昔は受け付けていたのに・・・・。


2004.04.17 kon.T

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