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ドイツの大学へ

いつ出願すべきか

 外国人の出願締切りは毎年決まっていて、夏学期が1/15、冬学期が7/15 まで。早く出すに越したことはないのだが、どうやら遅く出したからといって、なにか問題があるわけではない。というか・・・、これは一概には言えないかもしれないが、締切りの数ヵ月前に出願した友人らは、何故か非常に遅れて解答を貰っているような気がする。実はボクはいつも締切りギリギリに出しているのだが、ボクはいつも非常に早期に回答を受け取っている。

 これはボクが日本人だからとか、必要書類が全てそろっているからとか、願書の書き方が優れているとか、そういう理由ではではきっとない。何しろ Ablehnung (入学拒否) さえ、すぐに来るのだから。それとは逆に、いつまでたっても回答が来ず慌てふためいている友人らも結構、いや、かなり多い。話を聞くと、彼らは大抵かなり早期に出願している。

 ボクはここで 「早く出すよりギリギリに出すべきだ」 などとは言えない。そんなことは大学によっても違うはずだし、なにより我々出願者とってそれは常にブラックボックスであって、何が正しく何が間違っているのかさっぱり分からないのが実状。なぜA大学からは Zulassung (入学許可書)が届き、B大学からは Ablehnung (受け入れ拒否)が来たのか。その理由を明確に答えられる奴など、恐らくいないのだ。出願状況によっては、全ての要件を満たしているにも関わらず Ablehnung を出さなければならない大学側の苦しい事情もある。それは Auslanderquote と言って学内に在学する外国人比率に関する決まりであり、出願してきた外国人がいくら優れた人間であろうと、全ての志願者を受け入れることなど物理的に不可能なのだ。そんな事情から否応なく振り落とさねばならない(振り落とし作業 - 別稿参照ため、Ablehnung の理由はいつも明確ではない。

 だがボクが言いたいのは、出願ギリギリに出したからといって不利なことは何もないのだということ。ボクの友人には 「あぁ、出願が遅れそう。ギリギリに出願しても Ablehnung だろうなぁ」 などと言って落ち込んでいる人がいるが、そんな悩みは全くの無駄だということ。ギリギリでも胸を張って出願しよう。もちろん、遅くなればなるほど受付窓口は込み合うので、なにか質問しても親切に答えてくれるとは限らない。だから質問等がある場合は、できる限り早期にアクセスする必要がある。質問は早目がいいが、出願はギリギリでも可である (日本から申し込む場合。これは少し複雑だ。これに関しては別稿を設けているので、そちらを参考にして欲しい)。

 次に、「出願したにも関わらず、いつになっても返事が来ない!」 という場合の対処方法。韓国から来た友人Eukwan君の採った方法を紹介しよう。彼は早期に出願したにも関わらず、待っても待ってもなんの回答も来ない。DSHは直前に迫り、 Ablehnungが届きそうな兆候となってきた。Eukwan君は焦ったものの、窓口に文句を言いに行ったところで仕方がない。何故なら、そのような出願者は山といるのだから。そこで彼は出願窓口宛に次のような手紙を書いた。

 「私は貴校で学ぶため毎日毎日、それも真面目に、粘り強くドイツ語を勉強してきました。どうか入学許可書をお送り頂き、どうぞ私にドイツ語能力を証明させてください。私には貴校で勉強する以外に道はありません」

 というような内容の手紙をひたすら書き続けた結果、大学側もついに根負けし、DSH試験の3日前になってようやく彼に Zulassung を送ってきた。このような遅い時期に Zulassung が来るのは珍しいと思うが、とにかくこれは彼の粘り勝ちだろう。そして彼は見事DSHに合格。彼の努力を称えずにはいられない。早い話が、窓口担当者も人間であり、誰にAblehnung を出すべきか本当に悩んでいるのだ。DSH 直前などはとくにそうで、恐らくこの時期にまだなんの回答も得られない人の多くは、合格要件を満たしている場合が多いだろう。そしてそのほとんどに対し Ablehnung を出さねばならないのだろうが、しかし極わずかに Zulassung の余地も残されている。(恐らくは) だからこそ担当者は悩み、回答を出せずにいるのだ。そんな時に情熱のこもった、切実な願いをつづった手紙を、しかも毎日のように受け取れば、担当者の心が揺れ動くのも納得がいく。

 この試みは彼の場合だけでなく、およそどんな場合にも有効ではないだろうか。とにかく一度 Ablehnung が届いてしまえば、もはやこれを覆すことは難しい。しかし回答が来る前なら、手紙を出すのは Zulassung を貰うための有効な手段となりうるだろう。毎日毎日ひたすら手紙を出し続けるのもいいし、あるいは願書を送る時に手紙を添えるのもいい。ドイツで何について研究したいのか、今まで母国でどんなの事をしてきて、どんな理由でドイツを選んだのか。そしてどうしても学びたい旨を、願書とは別に書いてみよう。これは効果的だと思う。しかしもちろんその手紙は 「正しいドイツ語」 で書かれているべきで、もしインチキなドイツ語で書いてしまえば逆にマイナスポイント。出すのなら、ちゃんと先生の添削を受けるべきだ。

2004.04.03

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