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ビザ大研究
ドイツビザ - その1

ボク まずはビザの種類と日本人が取得可能なビザについてお聞きします。日本政府が発行するビザは2004年現在で27種類あるそうですが、ドイツ政府が発行するビザにはいったいいくつの種類があるのでしょうか。またそのうち、我々日本人が取得可能なビザとはどんなものでしょうか?
職員 特に定まった種類があるわけではありません。確かに学生ビザや観光ビザと呼ぶべきものはありますが、だからといって全てのビザに明確な区分があるわけではありません。ビザ発給を求める人の事情が法的に認められるものであるかどうか照らし合わせ、発給に値すると担当官が判断すれば、特記事項を明記のうえビザを発行します。要は発給に足る事情と、それを証明する書類があればよいわけで、あとは担当官の判断にゆだねられます。
ボク ドイツはシェンゲン条約に加盟しているので、ドイツビザを取得しなくても他の加盟国ビザを持っていれば滞在できると聞いています。ところで日本人はビザを持っていなくても、ドイツ国内に3ヵ月は滞在可能ですよね。それはつまり日本から飛行機でドイツに降り立ち、ドイツから他の加盟国に移動した場合も、同じように3ヵ月間はビザ無しで滞在できるという事ですよね? しかしこの場合は通算3ヵ月になるのでしょうか? あるいは各国毎に3ヵ月、つまり「2ヵ国に住めば計6ヵ月」という計算も成立するのでしょうか?
職員 加盟国ならドイツ国内と同じように3ヵ月はビザ無しで居られます。この場合は通算であって、加盟国内を移動しても、滞在可能期間は延びません。
ボク シェンゲンビザ(条約加盟国のビザ)を持っていれば、その有効期限までは他の加盟国内であっても居住可ですよね?
職員 発給されたビザの特記事項にもよりますが、基本的にはそうです。例えば特定の語学学校に在籍している事を前提にビザが発給された場合は、他都市や他国に住むと文句を言われる可能性もありますね。
ボク しかしここで大きな疑問があるんです。同じシェンゲン加盟国であるオーストリアには入国後、半年間もビザ無しでOKなんです。しかもこれは「1年間に6ヵ月」という計算で、例えば7月1日にオーストリアに入るとそこから6ヵ月間、つまり12月末までビザ無しでいられます。そして1月1日からは次の年になりますので、更にここから6ヵ月間、計1年間連続ビザ無しで過ごす事が可能です。これはオーストリアからドイツ入りすれば、ドイツにも最長一年間ビザ無しで過ごせる計算になりますが・・・・。
職員 えぇっ?! オーストリアはそうなんですか? 知りませんでした! でも妙な話ですねぇ。シェンゲン加盟国の事情は、原則として統一されているはずなんですが・・・。しかし現状でそのようなシステムがあるのならば、ビザ無しで3ヵ月を越えてドイツに滞在する事も可能ということになります。今度ビザに関する新しい法律ができるようなので、状況は近いうちに少し変ると思います。ただオーストリアのビザがそういう性質のものであるなら、今現在は最大1年間ビザ無しで滞在しても適法と言えるでしょうね。
ボク 次に「ビザ無しで3ヵ月」の計算方法について質問させて下さい。ビザ無し滞在の場合ですが、3ヵ月間ドイツに在住したら、直ちにシェンゲン加盟国を脱出しなければなりませんよね? そこで友人らはよく非加盟国、例えばスイスとか東諸国へ1度出て、すぐにまた戻ってくる、という技を使っていました。これらは大抵の成功して、友人の中には最長2年も日本に帰ることなくビザ無しでヨーロッパにいたヤツまでいます。しかしこれって違法なんでしょうか? 実はいろんな噂が飛び交っていて、一説によると「母国に3ヵ月間滞在しなければならない」という決まりがあるそうです。実際のところ、法的にはどうなっているのでしょうか?
職員 そもそも考え方が全然違いますね(笑) 正確には6ヵ月という期間が設定されていて、その間に3ヵ月間、加盟国内に滞在できるんです。だから例えば飛行機でドイツに降り立ち、1ヵ月間滞在して日本に帰るとしましょう。そして1ヵ月後にまたドイツに入った場合、滞在できる残り日数は「3ヵ月マイナス1ヵ月」で、つまり2ヵ月間です。そして残り2ヵ月間を連続してドイツで過ごしたなら、もちろん加盟国外に退去しなければなりません。これは当然ですよね? では再び渡独したい場合は、非加盟国にどのくらい滞在しなければならないと思いますか?(笑) 
ボク え? だから3ヵ月なんですよねぇ?
職員
図中の 「SL」 はシェンゲン加盟国を指す
違います。2ヵ月なんです。例えばドイツ入りして3ヵ月間連続で滞在した場合、その後3ヵ月間はシェンゲン加盟国に入れない。これは一見正しいのですが、別に「3ヵ月という期間が経過する事によって、カウントがクリアされる」という意味ではないんです。計算はあくまで6ヵ月単位であって、さっきの例だと、最初の1ヵ月間はドイツにいて、次に日本で1ヵ月間過ごす。その後再び渡独してドイツで2ヵ月間を過ごしたら、この間に既に4ヵ月が過ぎています。重要なのは、最初に加盟国内に入った日と、そこから「6ヵ月間」という期間。だからこの場合は、残り「2ヵ月間」を非加盟国で消費しなければならないのです。
ボク なるほどぉ! よく理解できました!
職員 いえいえ、実はそんなのは大した問題ではないんです (^-^) 。よく考えてくださいね。例えば最初ドイツに降り立ち、たった1日だけドイツで過ごして、翌日日本に帰ったっ場合・・・、どうなると思います?
ボク は・・・? どういうことですか?
職員 そして3ヵ月と1日後に再び渡独しましょう。そして残りの日数をドイツで過ごすと?
ボク は? 過ごすと? どうなるんでしょうか?
職員 ふっふっふ、どうなるんでしょうねぇ?(笑) 6ヵ月という期間の中で、加盟国内に居たのはたた1日。その後は日本、つまり非加盟国で3ヵ月と1日を過ごし、再びドイツに戻ったら、残り滞在可能日数は3ヵ月マイナス1日です。この間をドイツで過ごすと、最終日には、最初の日から数えて6ヵ月目を迎えます。つまりここでカウントはクリアされて、制度上は更に3ヵ月間、つまり6ヵ月とマイナス1日間、連続して住み続ける事ができると思いませんか?
ボク あっ!なるほどぉ! しかし・・・、それって本当に可能なんですか?
職員 分かりません。
ボク は?
職員 いえ、制度上はOKだと思うんですが、どうなるか分かりません。その辺りが条約に明記されていないんです。ただ「3ヵ月を越えて連続滞在することはできない」と判断される場合もありますので、その場合は一度退去しなければならないでしょうね。まぁ、それも担当官次第ですが。試してみる価値はあるかもしれませんね(笑) 
ボク あっははは! 面白いですねぇ (^^;) しかしちょっとここでまた質問なんですが、「知らなかった」という言葉は結構有効らしいんですよ。例えばドイツに3ヵ月間いて、1日だけスイスに出ます。そして再びドイツに戻って3ヵ月間滞在。最初の日から6ヵ月を過ぎて、飛行機で日本に帰ろうとします。当然にもこれは規則違反ですよね? しかし「知らなかった」と言えば、大抵は「次は許さないよ!」ってな感じで許されるようです。複数の友人が、そう証言しています。だから万が一の時には、ボクも「知らなかった」と言ってみるつもりでいます。
 しかしですよ、「担当官によって対応が違う」というのは、いろんな場面で目にしています。「知らなかった」を許さない担当官がいることも予想できますよね。先ほど「試してみる価値はあるかもしれませんよ」ってなことをおっしゃられましたが、もし頭カチカチの無慈悲な担当官にあたった場合、ビザに関する違反では、どのくらいのペナルティが課されるのでしょうか。もちろん違反内容によっても違うと思いますが、罰則規定とかがあればお教え願えませんか?
職員 違反と認識された場合は・・・、結構厳しいかもしれません。
ボク 例えば?
職員 まぁ、即刻退去を命じられるのは当然でしょう。もちろん帰国の飛行機や引越しの手配に要する、日程的な余裕はもらえるでしょうがね。怖いのは一定期間の再入国禁止や、場合によっては永久退去もありえます。
ボク そ、それは厳しい! 先ほど「試してみる価値」と言われましたが、いくらなんでも、それじゃリスクが大きすぎますよ (^^;)
職員 まぁ、確かにそうですね。どう判断されるかは担当官しだいだし、言ってみれば「運しだい」ってことです。
ボク なるほどねぇ・・・。ところでこの「担当官しだい」っていうのは、ドイツに住んでいればよく経験する事だと思います。このような解釈の違いは、制度上明確に定められていない部分であったり、あるいは担当官の勉強不足という事もありえるでしょう。そういうとき、ボクはめげずに他の担当官のところに行きます。担当官が代わる事によって問題が解消される事って、意外に多いんです。だからボクは複数の担当官が口を揃えて 「Nein」 と言ったときにだけ、諦める事にしています。しかしですね、これが入出国審査の場合は大問題です。もし万が一 「永久退去」 を命じられたら、弁明のしようありません。例えそれが担当官の誤解だとしても。そこで質問なのですが、一度出た退去命令を覆す方法ってあるんでしょうか?
職員 あると思います。そのためには関係当局に直談判することです。場合によっては弁護士を立てることもあるでしょう。退去命令を出されたからといって、話しあう権利さえ奪われてしまうわけではないんですから。
ボク なるほど、そうですか。では・・・、退去命令を出された場合の命令撤回要求、どこに出せばいいんでしょうか。日本の場合は入国管理局か外務省本庁ということになるんだと思いますが、ドイツでの「関係当局」とは、具体的にどこを指すんでしょうか。
職員 場合にもよると思うんですが、いまここでは明確に答えを出しにくいですねぇ (^^;)
ボク あっ! 例えば在日大使・総領事館とかは?
職員 いえ、残念ながらここでは取り扱えません。
ボク するとドイツ国内の・・・、って事になりますね。・・・あれ? しかし退去命令が出てしまっていては、交渉にさえ行けないように思えますが、このような場合は渡航の正当な理由として認められるということですね?
職員 いえ、認められないでしょう。ですからもはや手紙を送って交渉するか、あるいは弁護士を立てるしかないでしょうね。
ボク そうですか。結構厳しいですね。ま、違反はしないに越した事はないってことですね。
職員 そういうことです(笑) 

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